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[No.1032-2]卵かけごはん

No.1032-2

「ところが・・・」

就職して初めて親元を離れ寮生活を始めた。
その時・・・。

「“初めて知った!”んだ?」
「それはそうなんだけど・・・」

確かにその時、知った。
でもそれ以前にある問題が僕の前に立ちはだかった。

「問題?」
「ほら、よく考えてみてよ」

僕は生卵を使った卵かけご飯を知らなかった。
ダメ押しすれば見たことも聞いたこともない。

「・・・あっ!」
「だろ?」

寮生活の初日の朝に、生卵が用意されていた。

「何なのこれって?」

ゆで卵と間違えずに済んだのは幸いだった。
戸惑う僕を尻目に他の人たちが食べ始めたからだ。

「それも躊躇なく、卵を割ってさ・・」
「それはビックリするかもね」

そこから僕の人生は変わった。
こんなに美味しい食べ方があることを知ったからだ。
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(No.1032完)
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