[No.1026-2]今を生きる
No.1026-2
「それが普通と言えば普通なんだろうけど」
いつまでも親のすねをかじってはいられない。
その思いは人一倍強かったと思う。
「それがあまり良くない方向に進んだのかも」
「人間関係としては」
経済的な面では良い方向に進んだと思う。
自立して、親にはそれほど負担を掛けてはいない。
「けど、それが逆に関係を疎遠にしたのかも」
「そうだね、分かるよ」
気付けば、親のありがたみを忘れていた。
どんなことでも自分の力でなんとかなると。
「結局、なにも親孝行ができずにさぁ・・・」
金銭的に余裕がある今だからできる孝行もあったと思う。
旅行とか豪華な食事とか。
「でも、本当は違うと思ってるんでしょ?」
「そんなことじゃないって」
ズバリ指摘され、心苦しくなった。
そう、お金がどうこうなんて、単なる言い訳にしか過ぎない。
「もっと、大人になった僕を見て欲しかったな」
「見てるわよ、どこかで」
その言葉に涙が溢れそうになった。
「そ、そうだよな!」
だから、母に対して恥ずかしくないよう今を生きよう。
(No.1026完)
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