[No.1026-1]今を生きる
No.1026-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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何も変わっていない日常を過ごしている。
そんな自分に嫌気がさすことがある。
「今月だっけ?」
「うん、24日」
母が他界して、はや1年が過ぎようとしている。
去年の今頃は毎日が慌ただしく過ぎて行った。
「何か変わった?」
「・・・どうだろう、難しい質問だね」
初めのうちは明らかな変化があった。
大袈裟だが、決意に似たものさえあった。
「じゃあ、今は?」
「いつもの日常に戻っている」
ある意味、その方が良いと思う。
でも、それでいいのかと言う疑問がいつもつきまとっている。
「君の場合はどうだった?」
「あなたと似たようなものよ」
決して忘れているわけではない。
むしろ、生前よりも強く心に存在し続けている。
「僕の場合はさぁ・・・」
高校を卒業後、すぐに家を出て働き始めた。
加えて、配属先が実家とは遠く離れた場所だった。
「だから成人してからの僕を」
「母はよく知らないと思う」
それは僕にも同じことが言えた。
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