[No.1029-2]レディーボーデン
No.1029-2
「最近は色んなアイスが出てるもんな」
「そうね、知名度はさすがに・・・」
いわゆる高級アイスの路線は別のアイスに移っている。
でも・・・。
「私はやっぱりこれね」
「そうだな」
時代は変われども、いまだその存在感は健在だ。
今でも神々しく輝いている。
「なんか、これの宣伝部長みたいになっちゃったわね!」
「だな!」
それだけ思い入れが強いということだ。
私も彼も。
「あなたと話が合って良かったよ」
「俺らの年代ならそうじゃないか?」
今まで見たこともない大きな容器。
そして、舶来品を思わせるデザイン・・・。
「自分で“舶来品”って言ってるじゃないか」
「あはは!そうみたい!」
いずれにせよ、思わぬ再会に嬉しさが込み上げてきた。
あらためてそれを手に取ってみる。
「・・・買って帰る?」
彼が小さくうなづく。
二人とも味の思い出がないのは覚えていないからではない。
(No.1029完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(042)小説No.1026~1050」カテゴリの記事
- [No.1050-2]母の日(2021.05.20)
- [No.1050-1]母の日(2021.05.19)
- [No.1049-2]答えが来る(2021.05.18)
- [No.1049-1]答えが来る(2021.05.16)
- [No.1048-2]二十四の瞳(2021.05.13)
コメント