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[No.1025-2]迷子

No.1025-2

「おまけに土地勘もないし・・・」
「それ雪国初心者あるあるかもしれないよ

雪がなければ、建物などから判断できていたはずだ。
もちろんスマホもケータイもない時代だ。

「標識や看板も見えなくて・・・」
「ぜーんぶ、雪だもんね」

まさしく、雪山で遭難した気分だった。
迷った上に、吹雪き始めたのが決定打となった。

「もう、右も左も分かんなくなってさぁ・・・」
「そりゃそうよ!街中だって油断大敵よ」

さすが道産子、分かっている。

「で、どうなっちゃったの?」
「仕方なく、大きな道路に出て」

タクシーを拾うことにした。
大袈裟だけど体力も尽き果てそうだったからだ。

「で、タクシーを拾って行き先を告げたら」
「もしかして・・・」

その“もしかして”だった。
運転手から、良い意味で乗車拒否された。

「親切に、すぐそこですよ・・・と教えてくれて」
「まぁ、僕を見て察してくれたと思うよ」

関西弁に加えて雪山で遭難しかけたような風貌だった。

「そうでもなきゃ、ほんと遭難してたかも」
「大袈裟な!・・・と言えないのが冬の怖さね」

結果、無事に帰路に着くことができた。
それから・・・年が経過した。

「もう迷いはしないよ、色んな意味でね」
S1025
(No.1025完)
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