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2021年1月

[No.1029-2]レディーボーデン

No.1029-2

「最近は色んなアイスが出てるもんな」
「そうね、知名度はさすがに・・・」

いわゆる高級アイスの路線は別のアイスに移っている。
でも・・・。

「私はやっぱりこれね」
「そうだな」

時代は変われども、いまだその存在感は健在だ。
今でも神々しく輝いている。

「なんか、これの宣伝部長みたいになっちゃったわね!」
「だな!」

それだけ思い入れが強いということだ。
私も彼も。

「あなたと話が合って良かったよ」
「俺らの年代ならそうじゃないか?」

今まで見たこともない大きな容器。
そして、舶来品を思わせるデザイン・・・。

「自分で“舶来品”って言ってるじゃないか」
「あはは!そうみたい!」

いずれにせよ、思わぬ再会に嬉しさが込み上げてきた。
あらためてそれを手に取ってみる。

「・・・買って帰る?」

彼が小さくうなづく。
二人とも味の思い出がないのは覚えていないからではない。
S1029 
(No.1029完)
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[No.1029-1]レディーボーデン

No.1029-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「ヘェ~こんなところで販売してたんだ」
「何がだよ?」

私の時代の高級アイスと言えばこれだった。

「おっ!懐かしい!」
「こら!懐かしいなんて失礼ね!」

メーカーに失礼だ。
とは言え、久しぶりに見た気がする。

「俺の時代もこれだったぞ」
「でしょ!」

子供の頃、アイスと言えば駄菓子屋で買う程度だ。
一本、20円程度のアレがメインだった。

「あぁ、アレね!」
「名前は各地で微妙に違うとは思うけどね」

そんな中にあってのこのアイスだ。
その輝きたるもの・・・。

「まさに舶来品!」
「あなた江戸時代の人!?」

けど、決して大袈裟な表現じゃない。
それくらいのインパクトがあった。

「憧れというより・・・」
「食べちゃいけない!って感じだったよな」

子供の頃によくあった“見ちゃダメ”に近いものがあった。
話題にするのもはばかられた。

(No.1029-2へ続く)

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ホタル通信 No.455

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.559 飛行機のプラモデル
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

後半の@以降は創作ですが、それ以前の話はほぼ実話です。
今でも鮮明に覚えています。

他の家庭がどうだったか分かりませんが、私の家では誕生日
やクリスマスに特別な思い出はありません。何もしてもらえな
かったわけではありませんが、記憶に残るほどでもなかったの
が正直な感想です。
プレゼントも記憶に残っているものは、良いプレゼントではなく
言わば悪いプレゼントです。実はこの小説も作っています。

そんな中でしたから、景品とは言え、飛行機のプラモデルが
嬉しくなかったわけはありません。ですが、小説に書いた通り、
母はどうだったのか?が最大の焦点になっています。景品に
何が用意されていたか知り由もありませんが、母がチャレンジ
するくらいですから実用品だったのでは?と考えていました。
ただ、自分も大人になり思うことは、やはり親は子供のことを
一番に考えていることです。そう思うようになり「プラモデルが
当たって嬉しくない母」の考えは間違っていると気づきました。

その反省から@以降の話を追加したようなものです。私が歓
喜の声をあげたことを喜んでいてくれたと思います。
T455 
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[No.1028-2]ランドセル

No.1028-2

「でもさぁ、今の方が自由だと思うんだけどな?」
「それはそうよね」

昔の方が、厳しかったように思える。
今は“ランドセルを押し付けるな!”と世論が言いそうだ。

「ほんとそう!」
「でも、子供たちはどう思ってるのかな?」

それが当たり前だと思っているのだろうか。
それとも単に校則を守っているだけだろうか。

「変に目立つのも・・・ね」
「あぁ・・・そうね」

目立てば目立つでイジメの対象にもなりかねない。
個性が生き難い時代とも言える。

「ランドセルの話題から随分発展しちゃったね!」
「いいんじゃない!」

昔と比べるなんて・・・。
おじさんやおばさんのすることだと思っていた。

「歳、取った?」
「そりゃそうよ!」

あれからザッと数えて十年になる。

「これからはもっと社会派になるわよ!」
「そ、そうね!」

遅いくらいかもしれない。
もうすぐ、社会人になろうとしている私たちにとっては。
S1028
(No.1028完)
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[No.1028-1]ランドセル

No.1028-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「いつまでランドセルだった?」
「なに!?いきなり・・・」

今、集団登校する小学生たちとすれ違っている。
そこに少し違和感を覚えた。

「私の時代はランドセルなんて・・・」

二年生になった時にはもうランドセルは卒業していた。

「卒業?ランドセルじゃないってこと?」
「うん、手提げカバンだったの」

すれ違う小学生たちは皆、ランドセルを背負っている。
高学年と思われる子もだ。

「何だか、不思議な光景」
「ランドセルって、なんかさぁ・・・」

ランドセルを“可愛い”ものとは思っていなかった。
それに画一的なものに抵抗があった。

「あんたらしい・・・というか」
「確かにそんな時代だったかもね」

そんな友達も手提げカバンだったと言う。

「私はそこまでじゃなかったけど」
「だんだんランドセルが少数派になって・・・」

その内、手提げ派にのまれて行ったらしい。

「それは“あんたらしい”ね」
「それってディすってる!?」

(No.1028-2へ続く)

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[No.1027-2]元日の朝

No.1027-2

「それが出発式なのね?」
「そう!元旦にさぁ・・・」

それこそ1月1日の朝から、バリバリ働くわけだ。
それが全くと言っていいほど苦にならない。

「年賀状を心待ちにしてる人もいてさ・・・」

玄関先で声を掛けられたり、時には嬉しいことも起きた。

「もしかして・・・」
「まぁ・・・ね!」

特に年配の人から、お年玉をもらうことも少なくなかった。
額ではない・・・その気持ちが嬉しかった。

「なんかさぁ・・・人の役に立ってると実感したよ」
「なんだか楽しそうね!」

だから、高校3年間の元旦は、ずっと働いていたことになる。
もちろん、元旦だけではなく、長期の休みはずっと。

「最後には“ここに勤めたら?”とも言われたよ」
「あはは、分かる!分かる!」

もちろん、丁重にお断りしたからこそ今の僕がある。
けど、それでも良かったのかも・・・と今でも考えなくもない。

「バイトから社員へ、そして社長になんてこともあるよね?」
「サクセスストーリ-には」

確かにない話ではない。

「あなたにとっては、出発式は特別なのね?」
「そうだな、ちょっとこみ上げてくるものさえある」

局員に媚を売るわけでもなく、認めて欲しかったわけでもない。
ただただ我武者羅に働いた。

「それが青春よ!」

その時代に戻りたくなる時がある、何もかも忘れて。
S1027
(No.1027完)
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[No.1027-1]元日の朝

No.1027-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「思い出すなぁ~」

テレビのニュースで元旦の郵便局が放送されていた。

「ん?なにが?」
「何って、出発式に決まってるだろ?」

元旦に年賀はがきを配達する前の行事だ。
昔、僕はその中に居た。

「えっ!?元郵便局員なの?」
「転職してたの!?」

話を最後まで聞かない彼女が悪いのか・・・。
もったいぶる僕が悪いのか・・・。

「ちがうよ!バイトだよ、アルバイト!」

高校生の時、郵便局でアルバイトをしていた。
夏休みやなど学校が休みの時に。

「高1の夏休みが最初で・・・」

僕としてはそれで終わるつもりだった。
それがその年の冬、そして春・・・これが3年間続いた。

「それって・・・」
「自分で言うのも何だけど」

局員から“次の休みも是非”と頼まれたからだ。
早い話、戦力として認めてもらえていた。

「すごいじゃん!」
「ただ、俺だけじゃなくて」

僕の友達も同じだった。
共に陸上部で鍛えた肉体と精神が役にたったと思う。

「とは言え、走って配ったわけじゃないぞ!」
「当たり前でしょ!江戸時代じゃあるまいし・・・」

それの集大成と言えるのが冬休みの配達だった。

(No.1027-2へ続く)

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ホタル通信 No.454

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.590 僕らのマネージャー
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:男性

いかにも作り話っぽいですが・・・その通り、ほぼ創作です。何ら
かのきっかけはあったとは思いますが思い出せません。

人生を振り返ってみても、そもそもマネージャーがいたクラブに
入っていたことはありません。その意味でも自分の経験に基づく
ものではないことが分かります。多分、自分以外の身近な経験
あるいはドラマなどの影響を受けたか・・・そのどちらかとは思っ
ています。

さて、今回の小説を一言で表すなら「マネージャーはいつまで
もマネージャーだった。でも、それは結婚する前までであった」
です。もう少し続けると「全国に散った元サッカー部員たちの交
流が続いたのは紛れもなくマネージャーのお陰だった」・・・と
いうことです。
マネージャーとは言いませんがそんな存在の人、居ますよね?
悪く言えばお節介な人ですが、その人が人と人を結び、関係が
途切れずに済む・・・みたいな。
作者はその人とは真逆な性格で、自分でもあきれてしまうほど
です(笑)

私がよく言っている“商業的な小説”ではあるものの、それなり
のオチがついている点では、好きな小説のひとつです。
T454
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[No.1026-2]今を生きる

No.1026-2

「それが普通と言えば普通なんだろうけど」

いつまでも親のすねをかじってはいられない。
その思いは人一倍強かったと思う。

「それがあまり良くない方向に進んだのかも」
「人間関係としては」

経済的な面では良い方向に進んだと思う。
自立して、親にはそれほど負担を掛けてはいない。

「けど、それが逆に関係を疎遠にしたのかも」
「そうだね、分かるよ」

気付けば、親のありがたみを忘れていた。
どんなことでも自分の力でなんとかなると。

「結局、なにも親孝行ができずにさぁ・・・」

金銭的に余裕がある今だからできる孝行もあったと思う。
旅行とか豪華な食事とか。

「でも、本当は違うと思ってるんでしょ?」
「そんなことじゃないって」

ズバリ指摘され、心苦しくなった。
そう、お金がどうこうなんて、単なる言い訳にしか過ぎない。

「もっと、大人になった僕を見て欲しかったな」
「見てるわよ、どこかで」

その言葉に涙が溢れそうになった。

「そ、そうだよな!」

だから、母に対して恥ずかしくないよう今を生きよう。
S1026
(No.1026完)
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[No.1026-1]今を生きる

No.1026-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
何も変わっていない日常を過ごしている。
そんな自分に嫌気がさすことがある。

「今月だっけ?」
「うん、24日」

母が他界して、はや1年が過ぎようとしている。
去年の今頃は毎日が慌ただしく過ぎて行った。

「何か変わった?」
「・・・どうだろう、難しい質問だね」

初めのうちは明らかな変化があった。
大袈裟だが、決意に似たものさえあった。

「じゃあ、今は?」
「いつもの日常に戻っている」

ある意味、その方が良いと思う。
でも、それでいいのかと言う疑問がいつもつきまとっている。

「君の場合はどうだった?」
「あなたと似たようなものよ」

決して忘れているわけではない。
むしろ、生前よりも強く心に存在し続けている。

「僕の場合はさぁ・・・」

高校を卒業後、すぐに家を出て働き始めた。
加えて、配属先が実家とは遠く離れた場所だった。

「だから成人してからの僕を」
「母はよく知らないと思う」

それは僕にも同じことが言えた。

(No.1026-2へ続く)

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[No.1025-2]迷子

No.1025-2

「おまけに土地勘もないし・・・」
「それ雪国初心者あるあるかもしれないよ

雪がなければ、建物などから判断できていたはずだ。
もちろんスマホもケータイもない時代だ。

「標識や看板も見えなくて・・・」
「ぜーんぶ、雪だもんね」

まさしく、雪山で遭難した気分だった。
迷った上に、吹雪き始めたのが決定打となった。

「もう、右も左も分かんなくなってさぁ・・・」
「そりゃそうよ!街中だって油断大敵よ」

さすが道産子、分かっている。

「で、どうなっちゃったの?」
「仕方なく、大きな道路に出て」

タクシーを拾うことにした。
大袈裟だけど体力も尽き果てそうだったからだ。

「で、タクシーを拾って行き先を告げたら」
「もしかして・・・」

その“もしかして”だった。
運転手から、良い意味で乗車拒否された。

「親切に、すぐそこですよ・・・と教えてくれて」
「まぁ、僕を見て察してくれたと思うよ」

関西弁に加えて雪山で遭難しかけたような風貌だった。

「そうでもなきゃ、ほんと遭難してたかも」
「大袈裟な!・・・と言えないのが冬の怖さね」

結果、無事に帰路に着くことができた。
それから・・・年が経過した。

「もう迷いはしないよ、色んな意味でね」
S1025
(No.1025完)
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[No.1025-1]迷子

No.1025-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「昔と比べると減ったよな?」

少しづつではあるが減っていると思う。

「そうかもしれないね」

地球温暖化の影響かもしれない。

「そんなにエコな人だったっけ?」
「からかうなよ、素直な意見だよ」

除雪が昔より進んだ可能性もある。
それで勘違いをしている可能性は否定できないが。

「ここに来たときなんかさぁ・・・」
「僕の背の高さをゆうに超えてたぞ」

・・・年前にここに新入社員として配属された。
公私共に、初めての北海道だった。

「確かにそんな感じだったかも」
「だろ?」

除雪は入るものの、道路脇に残されたままになる。
それがどんどん積み上がっていった。

「それで、初めて来た年に・・・」

うれしさのあまり、近所を散策してみることにした。
なんせこれほどまでの雪を見たことがなかったからだ。

「“これが雪道か!”なんてはしゃいでたよ」
「初めてならそうなるのも無理ないよ」

とにかく、雪深い道をただただ歩いた。
ところが・・・。

「いざ、帰ろうとしたら」
「・・・帰り道が分からなくなって」

見えるものと言えば雪の壁と一面の銀世界だった。

(No.1025-2へ続く)

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