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[No.1018-2]歩きスマホとあの香り

No.1018-2

それにしてもこんなに香る植物も珍しい。

「そうだよね」
「ただ、そのお陰というか・・・」

良くも悪くも人生の1ページを飾ることになってしまった。
そして今、そのページが増えようとしている。

「それじゃ、何だか幸せそうじゃん!」
「あはは、だよね」

いつ頃からだろうか?
彼と上手く行かなくなったのは。

「周りから見れば・・・」
「素敵なカップルに見えてるんじゃない?」

これから別れようとしている風には見えないだろう。

「かもな・・・なんだよ、ここに来て尻込みか?」
「そっちこそ」

やり直すとか、やり直せるとか、考えてはいない。
けど、ほんとうにこれで良いのだろうか・・・。

「じゃあ・・・そろそろ行くぞ」
「うん・・・頑張ってね」

彼の転勤がそれを決定付けた。
これで楽になれる・・・正直、そう思った。

「歩きスマホとあの花の香りには気を付けてな」
「あなたもね!」

その瞬間、キンモクセイの香りが通り抜けた。
S1018
(No.1080完)
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