[No.1021-2]2次元の悲劇
No.1021-2
「悲劇!?」
・・・と言う割には、無責任にも顔は笑っている。
「体育際・・・早い話、運動会なんだけど」
「うちの学校では、応援用に・・・」
大きな看板に、絵や文字を書いて応援するのが伝統だった。
「この流れからすると・・・」
「君の想像通りだよ」
その看板に絵を描くことになった。
あろうことに、その絵は僕の一押しのキャラだった。
「僕が言ったわけじゃなく」
「クラスの連中がさぁ・・・」
もちろん、好意ではない。
あきらかな冷やかしだった。
「それで描いたの?」
「まぁ、仕方なく・・・」
とは言え、そんなに上手く描けるわけがない。
相手は今まで描いたことがない大きな看板だからだ。
「それで?」
「描くには描いたけど・・・」
雰囲気だけ辛うじて似せることができた。
ある大きな特徴があったからだ。
「本気の描写で似てないのも」
「辛いものがあったな・・・」
時を経て、こんな話をするなんて思ってもみなかった。
それも女子の前で。
(No.1021完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(041)小説No.1001~1025」カテゴリの記事
- [No.1104-2]ウンチの絵文字(2022.04.17)
- [No.1025-2]迷子(2021.01.13)
- [No.1025-1]迷子(2021.01.12)
- [No.1024-2]近すぎると見えないもの(2020.12.26)
- [No.1024-1]近すぎると見えないもの(2020.12.25)
コメント