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[No.1024-1]近すぎると見えないもの

No.1024-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「あれ見てん!」
「どこ?」

彼女が窓の外を指差す。
俺には見慣れた車窓の風景にしか見えないが・・・。

「どこ見てんねん!」
「あの背が高いビルのあたりや」

なるほど・・・そういうことか。

「虹だね!」

言われて気付くレベルの虹が出ている。
今にも消えそうな雰囲気だ。

「よく気付いたな?」
「うち、目がええねん!」

加えて若さもあるのだろう。
なんとも羨ましい限りだ。

「せやけど、虹って不思議やね」
「そうだな」

珍しくはないが、そう見られるものでもない。
人生の中で何回、虹を見たのだろうか?

「七色のアーチ・・・」
「自然が作り出した1級の芸術品だね!」

自分でも言うのもおこがましいが見事な表現だ。
これで彼女の心を鷲づかみ・・・。

「・・・なに気取ってんねん!」
「うちがいいたいのは」

彼女が言いたいのはそこじゃないらしい。

(No.1024-2へ続く)

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