[No.1024-2]近すぎると見えないもの
No.1024-2
「さっき、自分でいうてたやろ?」
「不思議な理由を?」
彼女が大きくうなづく。
「“そう見られるものではない”っていうてたやん」
「そ、そうだけど・・・」
確かに言った。
実際、そんなに見た記憶もない。
「“見られない”じゃないねん」
どういう意味だろう・・・。
「気付いてないだけ」
「・・・さっきの俺みたいに?」
彼女が首を横に振る。
「違うの?」
「逆やで!遠くにいるから気付けるんや」
何だか混乱してきた。
遠くにいるから気付けるとは・・・。
「虹は遠くから見るから見えるんで」
「近くにいたら何も見えへん」
何となくわかり始めてきた。
確かにそうなのかもしれない。
「もし真下に居ても見えないのかもな」
実際どうかはわからない・・・でも、そんな気がする。
「近すぎると見えないものもあるんや」
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