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2020年12月

ホタル通信 No.453


小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.417 待ち合わせ
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

2020年最後のホタル通信は偶然にも実話度100%の小説を
紹介します。

脚色も一切ないので、本当の意味で実話度100%と言える
小説です。作者は僕あるいは亜矢(あや)になります。
待ち合わせ場所に向かう二人が、同じ電車に乗り込む話
なんですが、偶然にも・・・ではなく、あえてそうするところを
リアルに書いています。
もちろん行動の描写がリアルなんですが、ある意味、それ
以上のリアルは地名です。実話度100%ですから天王寺、
京橋も事実です。

読み直してみると、懐かしさがこみ上げて来ます。そんな
時もあったんだと。そして、今では書けない小説だという点
でも・・・。
話は脱線しますが、そもそも実話度100%とは言わないま
でも、実話を小説風に作り込んでいく作風が特徴だったの
ですが、最近はそれが影を潜めています。
そのため、自分の原点を思い出させてくれる小説のひとつ
と言えるでしょうね。

今回の待ち合わせの話もあれば帰る話も書いているんで
すよ。是非、探してみてください。
T453
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[No.1024-2]近すぎると見えないもの

No.1024-2

「さっき、自分でいうてたやろ?」
「不思議な理由を?」

彼女が大きくうなづく。

「“そう見られるものではない”っていうてたやん」
「そ、そうだけど・・・」

確かに言った。
実際、そんなに見た記憶もない。

「“見られない”じゃないねん」

どういう意味だろう・・・。

「気付いてないだけ」
「・・・さっきの俺みたいに?」

彼女が首を横に振る。

「違うの?」
「逆やで!遠くにいるから気付けるんや」

何だか混乱してきた。
遠くにいるから気付けるとは・・・。

「虹は遠くから見るから見えるんで」
「近くにいたら何も見えへん」

何となくわかり始めてきた。
確かにそうなのかもしれない。

「もし真下に居ても見えないのかもな」

実際どうかはわからない・・・でも、そんな気がする。

「近すぎると見えないものもあるんや」

そうだと思う・・・俺らの関係のように。
S1024 
(No.1024完)
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[No.1024-1]近すぎると見えないもの

No.1024-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あれ見てん!」
「どこ?」

彼女が窓の外を指差す。
俺には見慣れた車窓の風景にしか見えないが・・・。

「どこ見てんねん!」
「あの背が高いビルのあたりや」

なるほど・・・そういうことか。

「虹だね!」

言われて気付くレベルの虹が出ている。
今にも消えそうな雰囲気だ。

「よく気付いたな?」
「うち、目がええねん!」

加えて若さもあるのだろう。
なんとも羨ましい限りだ。

「せやけど、虹って不思議やね」
「そうだな」

珍しくはないが、そう見られるものでもない。
人生の中で何回、虹を見たのだろうか?

「七色のアーチ・・・」
「自然が作り出した1級の芸術品だね!」

自分でも言うのもおこがましいが見事な表現だ。
これで彼女の心を鷲づかみ・・・。

「・・・なに気取ってんねん!」
「うちがいいたいのは」

彼女が言いたいのはそこじゃないらしい。

(No.1024-2へ続く)

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[No.1023-2]彼の目利き

No.1023-2

「社交辞令!?」
「あはは!」

彼が笑い始めた。

「だって」
「何でも美味しいって言うから・・・」

もちろん、お惣菜が美味しいのは認める。
でも、お惣菜まで褒めるのはちょっと違うと思う。

「う、うまく言えないけど!」

私としては少し遠慮をして欲しい。
私の料理よりはちょっと味が落ちるとか・・・。

「そうか?美味しいぞ」
「だから、それは分かってるって!」

なんとも煮え切らない。
こっちとしてはそこを理解して欲しい。

「ほんと乙女心を分かってないんだから!」

はっきり言えば私の手料理だけ褒めて欲しい。

「俺はね、俺好みの惣菜を選んでくれる・・・」
「そんな目利きを褒めているつもりなんだよ」
S1023 
(No.1023完)
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[No.1023-1]彼の目利き

No.1023-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「美味しい!」
「ありがとう・・・」

食事の度に味を褒めてくれる。
それはそれで嬉しいけど・・・。

「なんだよ?」
「ん?・・・なんでもないよ」

決して嘘を付いているとは思っていない。
でも、少し気になっていることもある。

「なんでもないけど・・・」

時々、料理の手を抜くことがある。
忙しい時とか、疲れた時とかはお惣菜で済ませる。

「それを気にしてたのか?」
「俺は全然気にならないけど」

気にしているのはそこじゃない。
彼はお惣菜も“美味しい”と口にする。

「だって本当だろ?」
「そうなんだけど・・・」

彼には悪いけど何でも美味しいと言っている気がする。
社交辞令のように・・・。

(No.1023-2へ続く)

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ホタル通信 No.452

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.414 一期一会
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

話の雰囲気としては事実なんですが、ひとつひとつを細かく捉え
ると事実とは大きく異なります。

まず、セミナーではなく、何らかの資格取得の研修のようなもの
でした。その資格ですが、作者の性別が特定される可能性があ
るために書けません、ごめんなさい。
ただ、その研修が行われた場所、つまり会場はほぼ小説の通り
で人里離れた・・・とまではいかないものの、似た環境でした。
言い忘れましたが、セミナーではなくとある資格取得の研修でし
たが、参加者は全員男性か全員女性かのどちらかです。従って
恋愛ウンヌンの話は全て創作ということになります。

次に小説のコンセプトとしては、大袈裟に言えば無人島の男女
が織り成す・・・みたいな感じでしょうか。特殊な環境下における
独特な心理状況の話だと言えます。
前述した人里離れた場所ですごした経験が無人島を連想させる
ことにそれほど違和感は感じていません。それに単なる旅行で
はなく、ほぼ仕事のようなものですから、ある種の緊張感も無人
島と繋がるような気がしています。
ですから、確かに論議等はあったものの、男性同士、女性同士
・・・というのが事実です。

オチは私が男性の連絡先を聞かなかったばかりに、友人もそこ
から繋がるかもしれなかった男性を逃してしまった・・・という感じ
です。
T452 
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[No.1022-2]ネコの嘆き

No.1022-2

「うずくまる・・・ねぇ・・・」

基本、家の中でもそんなことが多い。
気付けば、タンスの上に居ることもある。

「そんな感じで、ほら、あるでしょ!」
「そう言われても・・・」

夏はエアコン、冬はストーブ。
それぞれ、一番良いポジションを見つけ出す。

「そこまで出てたらもう一息!」
「あのねぇ・・・」

本格的なクイズの様相を呈してきた。
車の屋根のネコから、随分と話が展開している。

「ほら・・・アレを忘れてるよ!」

家の中で今と昔で変わったこと・・・。
あらためてクイズを思い出してみる。

「なんかテレビのクイズみたい・・・」
「・・・あっ」

確かにあった。
大きく変わったものが。

「テレビ・・・ね!」
「そうぉ!」

ブラウン管が液晶に変わった。
それにより、ある姿が見れなくなった。

「ネコがテレビの上に・・・でしょ?」
「正解!」

冬になるとテレビの上は彼らの特等席になる。
けど、今は・・・彼らの嘆きが聞こえてきそうだ。
S1022
(No.1022完)
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[No.1022-1]ネコの嘆き

No.1022-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
ネコが車の屋根でうずくまっている。

「気持ちよさそうね」
「今日はポカポカ陽気だもん!」

まさしく冬の午後のひと時と言った感じだ。
通り抜ける風も心地よい。

「ネコってやっぱり“見つける”天才だよね」

冬は暖かい場所を、夏は涼しい場所を。

「それは間違いないね」
「うちのネコもそうだもん」

ただ、夏は車の下にいることも多いから注意が必要だ。
だから、出掛ける前には下を見るクセが付いた。

「けど、最近、可哀そうで」
「なにが?」

友人もネコを飼っている。
それも私よりもかなり昔から。

「家の中で、今と昔で」
「大きく変わったこと・・・なにか分かる?」

突然、クイズが始まった。
でも、かなり掴みどころがない問い掛けだ。

「範囲が広すぎない?」
「もう少し、ヒントを・・・」

とは言え、この流れからすればネコは関係するだろう。
だとすれば・・・。

「今のシチュエーションがヒントよ」

つまり、ネコが車の上でうずくまっていることらしい。

(No.1022-2へ続く)

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[No.1021-2]2次元の悲劇

No.1021-2

「悲劇!?」

・・・と言う割には、無責任にも顔は笑っている。

「体育際・・・早い話、運動会なんだけど」
「うちの学校では、応援用に・・・」

大きな看板に、絵や文字を書いて応援するのが伝統だった。

「この流れからすると・・・」
「君の想像通りだよ」

その看板に絵を描くことになった。
あろうことに、その絵は僕の一押しのキャラだった。

「僕が言ったわけじゃなく」
「クラスの連中がさぁ・・・」

もちろん、好意ではない。
あきらかな冷やかしだった。

「それで描いたの?」
「まぁ、仕方なく・・・」

とは言え、そんなに上手く描けるわけがない。
相手は今まで描いたことがない大きな看板だからだ。

「それで?」
「描くには描いたけど・・・」

雰囲気だけ辛うじて似せることができた。
ある大きな特徴があったからだ。

「本気の描写で似てないのも」
「辛いものがあったな・・・」

時を経て、こんな話をするなんて思ってもみなかった。
それも女子の前で。
S1021
(No.1021完)
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[No.1021-1]2次元の悲劇

No.1021-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「一昔前は大変だったんだぞ」
「そうなの?」

能天気なところが若干気にならなくもない。

「今じゃ“オタク”って言葉も普通だけどさ」

昔は若干、ヤバめの意味で使われた。
特に僕みたいなアニメ好きは。

「アニメ最高じゃん!」
「今は・・・な」

その昔は、それを口にするのがためらわれた。
クラスメートから冷ややかな目で見られていたからだ。

「なんでよ?」
「ほら、特に美少女キャラ・・・」

思春期も重なり、そっち方面に興味が沸いていた。
もちろん、今で言う3次元も興味はあったが。

「ほら、2次元のキャラってある意味、理想でさ」
「それはあるね!」

高校時代は、特にアニメに入れ込んだ。
“見る”だけではなく、“書く”ようにもなった。

「えっ”?書くって・・・」
「書けるの!?」

アニメ好きが高じて、キャラのイラストを書くようになった。
もちろん、趣味の範囲ではあるが。

「へぇ~知らなかった!」

アニメ好きな仲間同士で、イラストを披露し合うこともあった。
それがクラスに知れ渡り、悲劇への幕開けとなってしまった。

(No.1021-2へ続く)

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ホタル通信 No.451

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.599 お手入れ
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

作者の性別はさておき、今回の小説はほぼ実話と言ってよい程
です。脚色はほとんどしていません。

前の自転車の話なんですが、購入当初から何となく調子が悪く
て、それほど好きではありませんでした。具体的にはブレ-キの
部分の調整が甘いというか・・・。
それもあって、それほど愛着もわかず、どちらかと言えば小説に
書いてある通り、放置しているような状態でした。自分は白黒を
ハッキリ付けすぎてしまう性格が災いして、一度、嫌いになると
とことん嫌いになってしまう傾向にあります。これは、人にも当て
はまるので、ほんと困ったものです。

ところがある時、パンクしたついでに車体を磨いてみるとビックリ
するほど綺麗になり、見違えるような輝きを取り戻しました。
こうなると、前述した白黒・・・がまたしても顔を覗かせ「どうせ綺
麗にするならとことんやる」かのごとく、徹底的に掃除した記憶が
あります。加えて、これも小説に書いている通り、痛んでいた部
分を変えて、ついでに当初から不調だったブレーキまで新調しま
した。
そうなると今までとは逆に愛着がわき始め、買ったときよりもやや
豪華な仕様になったくらいでした。

ただ、残念なことにその後、何度と無くパンクに悩まされていたこ
ともあり、買い換えを決断しました。小説的には「そのまんま」感
が強いですね。特に何らかの主張も盛り込んでいませんから、
ある意味、とてもお気楽な小説とも言えます。
T451 
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[No.1020-2]女子化・男子化

No.1020-2

「でも、中学卒業と共に」
「パッタリと行かなくなって」

となると、高校進学が影響しているのだろう。
別々の高校に進んだ・・・とか。

「あぁ、まさしくその通りだな」
「なぜだか、友達も釣りも距離が遠のいて」

どちらもそれっきりだったらしい。
でも、シチュエーションは違えども似たことはよくある。

「再開しようとは思わなかったの?」
「何度もあったよ」

けど、再開はしなかった。
きっとそこに深い理由があるのだろう。

「生きたエサが苦手になって・・・」
「えっ!?それ・・・」

深い理由ではなく、女子化していたのが原因のようだ。
何とも情けない理由だ。

「情けない?君だってそうだったじゃないか」
「あくまでも私は女子なのよ?」

一緒と考えるところが男子というか子供というか・・・。

「と、とにかく、再開したかったけどきっかけがなくて」
「じゃあ、好都合だったわけじゃない!」

嫌がる彼を無理やり、ここに連れてきた。
秋晴れの空に、水平線がよく似合う。

「生きたエサが苦手だって・・・」
「女子が男子化することだってあるでしょ?」
S1020 
(No.1020完)
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[No.1020-1]女子化・男子化

No.1020-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「釣りが趣味だったなんて知らなかったわ」

彼が中学時代の話をし始めた。

「当時、釣りのマンガも流行ってさ」

男子なら一度は通りそうな道だ。
けど、女子ならある問題が起きる。

「何だよ、問題って?」
「エサよ、エサ」

釣りに詳しくはないが、何をどうするかは知っている。
もちろん、エサのことも。

「あぁ、なるほどね」
「確かに苦手なのかもしれないな」

もちろん、大丈夫な人も居るだろう。
それにグロテクスなエサだけでもないだろうし。

「知ってるんだ?」
「まぁね」

それについては、以前テレビで見たことがある。

「釣れる、釣れないより」
「その場所に居るだけで幸せだったな~」

彼曰く、釣果は二の次だったらしい。
日曜日にまったりと過ごす、それが良かったらしい。

「そうね・・・分かる気がするよ」
「友達と何を話すわけでもなく・・・」

それぞれ思い思いの時間を過ごす。
それが醍醐味ということらしい。

(No.1020-2へ続く)

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[No.1019-2]田舎と田舎

No.1019-2

「私はいつか戻ってきたいな」
「えっ!?ここに?」

友人が小さくうなづく。

「東京と比べたら・・・」
「何と何を比べるの?」

逆に友人が質問してきた。
もとは私が聞き始めたことなのに。

「それは・・・建物とか・・・」
「そんなの比べてたら、東京だって」

上には上が居る・・・そう言いたげだった。
確かに世界では東京だけが際立っているわけじゃない。

「なにもないのが田舎だとしたら」
「少なくともこの町は田舎じゃない」

なぞなぞのようでもあり、禅問答のようなセリフだ。

「この町は色々なモノで溢れている」
「色々なもの?」

一応、疑問符で返したが、何となく分かる気がする。

「分かってるくせに」
「・・・」

何もないはずの地元で、中学の同窓会が開かれた。

「今日だけじゃなく、たまには戻って来たら?」
「・・・うん、そうする」

この町には都会で失ってしまったモノで溢れている。
S1019
(No.1019完)
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[No.1019-1]田舎と田舎

No.1019-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、こんなに田舎だったっけ?」
「私たちの町・・・」

目立った建物や商業施設がない。
それどころか、コンビニさえも見当たらない。

「えぇ!?それってディすってる?」
「違うわよ!正直な感想」

大学に進学したと同時に実家を離れた。
そして、そのまま就職も果たした。

「まぁ、都会とは言えないけど」
「そこそこイケてない?」

私もそう思っていた。
実家を離れる前までは。

「イケてないことはないけど・・・」
「イケてるわけでもないわよ」

今、住んでる所と比べると・・・。
いや、わざわざ比べなくてもその差は歴然としている。

「そう言えば東京だよね?今、住んでるとこ」
「そうよ」

それなら、なおさら田舎に見えるだろう。
私以上に。

「良い町じゃん、ここ」
「良い町と田舎は違わない?」

でも、なんでそんなに気にするのだろう・・・。
自分でもよく分からない。

(No.1019-2へ続く)

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ホタル通信 No.450

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.510 残してきたもの
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

傘を忘れたことは事実ですが、これ自体に特別な思い入れが
あるわけでもなく、かなり拡大解釈した小説です。

それこそ、傘を忘れた事実だけで創作しようとすればいくらでも
話が作れるのかもしれません。でも、今回の話に落ち着いたの
は過去の経験が記憶に残っていたからだと思います。
かなり省略して話せば、昔、友人に何らかの“貸し”を作ってい
たことがありました。尚、金銭的なものではありません(笑)
その貸しを友人も別に返して欲しいというわけでもなく、いわば
それは二人をつなぐ糸のような存在でした。それを良い意味で
二人で会うための口実に使っていました。
ちょっと行動が不自然な感じに聞こえるのは、その友人が女性
ではなく男性だったからです。

そんな貸し借りのような出来事を、傘を忘れたことにくっ付けて
みました。高級な傘より、安物の傘の設定にしたのはそのもの
自体にはさほど価値はないが、それを一緒に取りに行くこと・・・
つまり、地元に帰ってくるという価値は大きい・・・を際立たせた
かったためです。
それに、望郷の念と言いますか、地元というより、故郷を思う私
の気持ちが見え隠れしているとも言えます。

その証拠に舞台が一面の銀世界なのは言うまでもありません
よね。正確に言えば第二の故郷なんでしょうけど。
T450
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[No.1018-2]歩きスマホとあの香り

No.1018-2

それにしてもこんなに香る植物も珍しい。

「そうだよね」
「ただ、そのお陰というか・・・」

良くも悪くも人生の1ページを飾ることになってしまった。
そして今、そのページが増えようとしている。

「それじゃ、何だか幸せそうじゃん!」
「あはは、だよね」

いつ頃からだろうか?
彼と上手く行かなくなったのは。

「周りから見れば・・・」
「素敵なカップルに見えてるんじゃない?」

これから別れようとしている風には見えないだろう。

「かもな・・・なんだよ、ここに来て尻込みか?」
「そっちこそ」

やり直すとか、やり直せるとか、考えてはいない。
けど、ほんとうにこれで良いのだろうか・・・。

「じゃあ・・・そろそろ行くぞ」
「うん・・・頑張ってね」

彼の転勤がそれを決定付けた。
これで楽になれる・・・正直、そう思った。

「歩きスマホとあの花の香りには気を付けてな」
「あなたもね!」

その瞬間、キンモクセイの香りが通り抜けた。
S1018
(No.1080完)
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