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[No.1015-2]くすぐったい

No.1015-2

「わかってるよ」

枯れ始めてきたとは言え、まだ新しい命も芽生えている。
なんとも植物はたくましい。

「ほら、このツルなんて生き生きしてるぞ」
「ほんまや!」

落ち葉拾いのつもりが観察に変わる。
今日もこのパターンだった。

「動物よりもかわいいかもな」
「それは言えてるぅ!」

モノは言わなくても、こうやって触れ合うことができる。
実際、くすぐられて癒されもした。

「命は決して長くはないけど」

樹木ではない限り、時期が過ぎれば枯れてしまう。

「でも、来年も新しい命に出会えるやん!」
「・・・だよな!」

たかが植物に大袈裟な表現が飛び交う。
でも、されど植物・・・だとも言える。

「枯れてしまうまではちゃんと育てような!」
「もちろんやで!」

だからこそ、こうして水をあげている。
命が尽きると分かっていても。

「じゃ、もうひとふんばりしますか!」

もう一度、落ち葉を拾い始めた。

「ひゃぁ~、またツルがうなじにあたるぅ~」

でも、それが彼女のイタズラだと後で知った。
S1015
(No.1015完)
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