[No.1017-1]私の足元に
No.1017-1
登場人物
女性=牽引役 男性=相手
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「最近、栗、食べた?」
「くり?」
彼が突然、話題を変えてきた。
さっきまで、ドラマの話をしていたのに。
「て言うか、これも入るの?」
今、私はモンブランを食べている。
これも立派な栗だと思う。
「あぁ・・・そ、そうだな」
「どうしたの、急に?」
雰囲気からして、この手の栗ではないことは分かる。
多分、普通の形ある栗のことだろう。
「もしかして、天津甘栗みたいな?」
「そうだな、そっち系」
そっち系と言われても他に何かあるのだろうか?
せいぜい、焼き栗程度しか思い付かない。
「他に何があるの?」
「子供の頃はさぁ・・・」
彼が随分昔のことを話し始めた。
時を小学校の運動会まで巻き戻している。
「ほら、蒸し栗って言えばいいのかな?」
「焼かずに蒸すやつ」
蒸し栗・・・知ってはいるが、食べたことはない。
そもそも、栗を食べる習慣がなかった。
「家なんか、結構、食べてたよ」
「さっき話した運動会の時とかは必ず」
他にも秋の行楽には欠かせなかったらしい。
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