[No.1014-2]青臭い(裏)
No.1014-2
その男子はすれ違いざまに、私をチラッと見る。
そして、背筋を伸ばす。
「・・・のように見えるだけだろ?」
「別の何かを見てるのかもしれないし」
確かに自意識過剰なのは否定できない。
今までの話はあくまでも私の主観に過ぎない。
「でも、すれ違う時は必ず・・・」
「たまたま・・・ってこともあるだろ?」
そう言われれば元も子もない。
「自転車に乗ってるんだから」
「腰が痛くなったりするだろうし」
一点だけを見つめて漕ぐ人もいない・・・と言わんばかりだ。
「・・・そうかも」
「ただな・・・」
どうやら続きがあるらしい。
「興味は持ってるかもな」
「もしかして、それを恋とは気付いていないのかも」
ここに来て、急展開した。
それが本当なら、それほど悪い話でもない。
「でもよ、そいつのこと好きなの?」
「だってすれ違うだけなんだろ?」
まぁ、向こうから声を掛けてきたら考えなくもない。
(No.1014完)
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