[No.1017-2]私の足元に
No.1017-2
「へぇ~そうなんだ」
家では焼き栗が主体だったと思う。
ただ、天津甘栗を買ってくる程度だし、私は好んで食べない。
「家で蒸すの?」
「もちろん!」
それからも色々と話してくれた。
蒸し栗にまつわる話を。
「普通のスプーンじゃ食べにくいから」
「ふちがギザギザのタイプを使うんだ」
そのスプーンのことは分かる。
家にもあったからだ、グレープフルーツ用として。
「ところで・・・どうして栗の話題をしたの?」
「やっぱり、このケーキ?」
質問が的外れなのは分かっている。
なにせ、モンブランと気付いていなかったのだから。
「どうだろう・・・無意識というか」
「秋だからかな?」
確かに季節的にはそうだと思う。
「まぁ・・・とにかく、一口食べてみる?」
「ごめん!クリームになった栗は苦手で・・・」
なるほど・・・だから注文しなかったんだ。
私は逆に、クリーム以外の栗は苦手だ。
「特に蒸し栗なんてダメかも」
「なんか・・・木の実、そのままって感じがする」
今も私の足元に似たようなものがいくつも落ちている。
これが目に入ったのかもしれない。
(No.1017完)
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