[No.1011-2]親孝行と親不孝
No.1011-2
「親不孝であって親不孝じゃない?」
「ほんと禅問答だよ、それ」
その親子を見てあることに気付いた。
そんな息子でも母親は終始笑顔だった。
「子供は親不孝なことしても」
「親はそうは思っていない・・・ってことね?」
まさしく友人の言う通りだ。
「逆に少しくらいなら・・・」
「親不孝であった方が良かったのかもしれない」
私は真逆に育ってしまった。
親に迷惑を掛けないことが親孝行だと。
「それが距離を作ってしまった原因だったのかも」
迷惑を掛けまいと、ろくに連絡もせず生きてきた。
それが親孝行と信じて。
「親孝行な娘は実は・・・」
「そう、親不孝でもあるってこと」
もちろん、人それぞれだとは思っている。
けど、あの親子のようなシーンを何度も見てきた。
「まぁ、後悔しても遅いんだけどね」
親不孝も親孝行も、する対象者はもう居ない。
1年前に気付けば何とかなったものの。
「でもご両親はそう思っていないんじゃない?」
「だって、自分の娘だもん!分かってるわよ」
(No.1011完)
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