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[No.1016-1]本当の月

No.1016-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「わぁ・・・見て見て!」
「な、なんだよ!?、急に・・・」

彼女がとある家のシャッターを指差した。
多分、ガレージのシャッターだろう。

「シャッター・・・だよね?」
「もぉ!鈍感ね!」

前触れもなく、急にシャッターを指差された。
それでこの言われようだ。

「おいおい、そりゃ、ないだろ?」
「どう見たって、普通の・・・」

・・・と言いかけて気付いた。
なるほど・・・そういうことか。

「この木漏れ日のことか!」

シャッターに木漏れ日が当たっている。
その形がなんとも珍しい。

「すごいよね!」
「偶然とは言え」

それは1メートルくらいもある丸の形をしている。
まるで何かのオブジェクトのようだ。

「お月様みたいね!」
「まぁ、そうだな」

太陽と言うより、そっちの方が確かに似合う。

「それにしても・・・」
「こんな真昼間のこんな住宅地で」

それに歩きなれた道だ。
数百回は通っている。

(No.1016-2へ続く)

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