[No.1008-2]想い出のグラス
No.1008-2
「なんでそれだったのかな?」
「実は・・・ね」
当時は特に何も考えていなかった。
店の余り物をくれた程度にしか・・・。
「でも、よくよく考えたら」
その日は成人式だった。
「お祝いに?」
「そう!・・・だけどな」
確かにお祝いだと思う。
けど、僕は成人式には行っていない。
「・・・そうなの?」
「うん、配属先がさぁ・・・」
実家とは遠く離れた場所だった。
その場所にはもちろん知り合いなどいない。
「だから行かなかったんだ?」
「それに仕事もあったし」
そのは日曜日だった。
でも、僕は仕事をしていた。
「そんな日に、コンビニに行く?」
「・・・だね」
年齢は知っていたと思う。
何日か後の成人式の話をしたことがあったからだ。
「オーナーなりのやさしさだったと思う」
「・・・向こうに着いたら、これで一杯やろうか?」
そのコンビニはもう違う店に変わっているけれど。
(No.1008完)
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