[No.1010-1]何がなんでも
No.1010-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「これなに?」
「見ての通り、プラモデルだよ」
確か、小学生の頃に作ったものだ。
「何のキャラクターなの?」
「さぁ・・・何だろうね」
彼女をだましているわけではない。
本当にそれが何のキャラクターか知らない。
「知らないで買ったの?」
「うん、知らないで買った」
年に数回、母親にデパートに連れて行ってもらった。
もちろん、僕だけのためではない。
「その時に、何か買ってもらえるんだけど・・・」
買ってもらえると言っても、何でもと言うわけではない。
そこには暗黙の了解のようなものがあった。
「暗黙の了解?」
「あぁ、上限は千円程度だったかな」
だとしても、当時の僕には大金だった。
それに、少なからず家計にも影響があったと思う。
「それなら買わなきゃいいじゃん?」
「そうは行かないさ!」
そんなチャンスは滅多にないからだ。
「だから、何でもいいから使わないと!って感じで」
「ふ~ん・・・」
何とも説明し難い。
とにかく、何でもいいから買わなくちゃ・・・の精神だった。
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