[No.1009-1]突き抜ける空
No.1009-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
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「なんか違う・・・」
「ん?何か言った?」
友達が窓の外を指差した。
「ほら、私の席からは空は見えないんだよね」
「そうだっけ?」
でも、今は遠くに空が見えている。
丁度、建物に挟まれるような感じで。
「そう言えば、そこに何か建ってたよね?」
「・・・確かに」
それが何だったか覚えてはいない。
でも、その空間に建物があった。
「取り壊したのかな?」
「多分、そうなんだろうね」
無機質だった風景に潤いが生まれた。
大袈裟だけど、そんな感じだ。
「それにしても気持ちがいいね!」
「たったこれだけのことなのに」
秋晴れも手伝って、抜けるような青空だ。
空を抜けて、更に向こうの景色まで見えそうな勢いだ。
「あれは・・・富士山かな?」
「山が見えたら、すぐそれを言うんだから!」
もちろん富士山ではない。
でも、つい言ってみたくなるのが日本人だ。
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