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[No.1010-2]何がなんでも

No.1010-2

「ただね・・・僕にとっては大金でも」

当時のおもちゃは今よりも値が張ったのかもしれない。
本当に欲しいものは、千円程度では到底買えなかった。

「だから、結構苦労したんだぜ」
「千円で買える、そこそこ欲しいものを買うのに」

その結果がこれだ。
謎のキャラクターだけに、安かったのかもしれない。

「結構、深い話ね」
「・・・かもな」

そのプラモデルがなぜか、今も残っている。
特に大事にしているわけでもないのに。

「逆に今なら“お宝”かもね!」
「なるほど!可能性はあるな」

とは言え、新品未開封ならまだしも、使用感が半端ない。
傷だらけで、一部、ヒビ割れもしている。

「今でもこれを見るとさぁ・・・」
「何だか胸が苦しくなって」

その理由はひとつではないと思う。

「色んなものが買えるようになった今だから」
「余計にそう感じるのかもしれないな」

そのプラモデルは自分に対する戒めなのかもしれない。
そう言う気持ちを忘れないように・・・と。

「調べてみる?このキャラクターが何か」
「いいや、謎のままでいいよ」

当時の気持ちを忘れないためにも。
S1010
(No.1010完)
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