[No.1009-2]突き抜ける空
No.1009-2
「今日、あの空の辺りに行ってみない?」
「いいね、それ!」
遠いと言っても、自転車なら行ける距離だ。
それに、ふたりの帰り道の方向にも近い。
「何か出来るのかなぁ~?」
「ビルが建ったりして!それも超高層の!」
そうなるとまた殺風景な景色に逆戻りだ。
「まぁ、その可能性は大いにあるわね」
「それも含めて確認しに行きましょ!」
個人的には公園でも出来ていれば最高だ。
ここからは到底見えないけれど。
「なんだか、ワクワクしてきたね!」
「ほんと、授業を受けている場合じゃないかも」
特に今は退屈な科目だ。
先生の声なんて、全然耳に入ってこない。
「けど、なんで最近まで気付かなかったんだろう?」
確かにそう言われてみるとそうだ。
取り壊したのなら、工事の途中も見えたはずだ。
「なんでだろうね」
もちろん、建物があったことが前提だ。
「多分、授業をまじめに聞いていたからじゃない?」
「今とは違って、よそ見をせずに」
(No.1009完)
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