[No.1002-1]スピログラフ
No.1002-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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「う~ん・・・思い出せない!」
「何がだよ?」
さっきからひとりで何かを思い出そうとしている。
今の時代、そんな時は・・・アレに頼れば良い。
「ググれば?」
「ググろうにも手がかりが・・・」
とにかく話を聞いてみることにした。
「なんだよそれ?」
「小さい頃ね・・・」
子供の頃に遊んだ、おもちゃだと言う。
おもちゃとは言っても、文房具に近いらしい。
「文房具?」
「何て言えばいいのかな・・・」
彼女があたりをキョロキョロし始めた。
どうやら例えるものを探しているみたいだった。
「ちょっと、待って・・・」
そう言うと新聞紙をはさみで切り始めた。
出来上がったのは丸い円だった。
「この円のどこかに、小さな穴を開けて・・・」
「そこに、鉛筆の先っぽを刺す」
次に、円の真ん中を指で押さえる。
「でね、このまま、円を回転させると・・・」
早い話、コンパスと同じ原理だ。
綺麗ではないが、円が描かれる。
「これを踏まえてぇ!!」
「おいおい、ヒートアップしてるぞ」
伝わらないもどかしさが言葉に溢れ出ている。
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