« [No.1003-1]まるで肩を寄せ合うように | トップページ | [No.1004-1]今ならわかる »

[No.1003-2]まるで肩を寄せ合うように

No.1003-2

「こうするとな、余計な水分が落ちんねん!」

確かに、水っぽいものだけがボウルに落ちている。
逆に粘度のある部分は残っている。

「たったこれだけでも違うもんやで」

何がどう変わるかは別にして、そう思えなくもない。
味が濃くなるというか、密度が増すというか・・・。

「で、後は焼くだけ!」
「お早く頼むよ!おなかペコペコだよ・・・」

目玉焼きひとつに、仰々しく時間を使っている。
まぁ、それが彼女の良い所でもある。

「ほな、行くで!」

ザルから、フライパンに卵を移し変える。
食欲をそそる音が早くも聞こえてきた。

「水分が抜けたせいで形もいいよな」
「せやねん!」

白身がベチャッとならず、ふっくらしている。
見た目がホテルで食べる、あの目玉焼きのようだ。

「まぁ・・・実際、食べたことはないけどな」

あくまでも、見たことがあるレベルだ。

「これだけでもうまそうに見えるな」
「せやろ!・・・それに見てん!」

そう言うと、フライパンを指差した。

「うちらと同じやん!」

そこには、まるで肩を寄せ合うように黄身が並んでいた。
S1003
(No.1003完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.1003-1]まるで肩を寄せ合うように | トップページ | [No.1004-1]今ならわかる »

(041)小説No.1001~1025」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.1003-1]まるで肩を寄せ合うように | トップページ | [No.1004-1]今ならわかる »