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[No.1004-1]今ならわかる

No.1004-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「先週、初盆したんだっけ?」
「うん、そうだよ」

その言葉通り、亡くなった母の初盆だった。
亡くなってから、7ヶ月ほど過ぎた。

「ようやく、一段落って感じかな」

もしかしたら区切りは1周忌かもしれない。
でも、私にとってはここで一区切りにしたい。

「くよくよしてられないからね!」
「おー!その調子!」

友人の方がそれを先に経験している。
だから、何気ない言葉に勇気付けられる。

「それでね、昔のことを思い出してたら・・・」
「あることを思い出しちゃって」

とくに大きなエピソードではない。
逆に、とても“静かな”エピソードと言える。

「静かな?」
「うん・・・その表現が似合うのよね」

中学3年の時、修学旅行に行った。
一泊二日の旅だった。

「記憶があいまいなんだけど・・・」
「帰りは電車だったんだよね」

行きはどうだったか記憶にない。
普通はバスのような気がしないでもないが。

「それで?」
「帰りに駅の改札を抜けたら」

母親が迎えに来ていた。

(No.1004-2へ続く)

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