[No.1004-1]今ならわかる
No.1004-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
-----------------------------
「先週、初盆したんだっけ?」
「うん、そうだよ」
その言葉通り、亡くなった母の初盆だった。
亡くなってから、7ヶ月ほど過ぎた。
「ようやく、一段落って感じかな」
もしかしたら区切りは1周忌かもしれない。
でも、私にとってはここで一区切りにしたい。
「くよくよしてられないからね!」
「おー!その調子!」
友人の方がそれを先に経験している。
だから、何気ない言葉に勇気付けられる。
「それでね、昔のことを思い出してたら・・・」
「あることを思い出しちゃって」
とくに大きなエピソードではない。
逆に、とても“静かな”エピソードと言える。
「静かな?」
「うん・・・その表現が似合うのよね」
中学3年の時、修学旅行に行った。
一泊二日の旅だった。
「記憶があいまいなんだけど・・・」
「帰りは電車だったんだよね」
行きはどうだったか記憶にない。
普通はバスのような気がしないでもないが。
「それで?」
「帰りに駅の改札を抜けたら」
母親が迎えに来ていた。
| 固定リンク | 0
「(041)小説No.1001~1025」カテゴリの記事
- [No.1104-2]ウンチの絵文字(2022.04.17)
- [No.1025-2]迷子(2021.01.13)
- [No.1025-1]迷子(2021.01.12)
- [No.1024-2]近すぎると見えないもの(2020.12.26)
- [No.1024-1]近すぎると見えないもの(2020.12.25)
コメント