[No.997-2]兄弟ってそんなもの
No.997-2
「こんな絵を描いて大丈夫だったの?」
「多分、知らないと思う」
怒られたり、ケンカした記憶はない。
もし、見られていたとしたら、容赦なかったはずだ。
「そりゃそうでしょ!」
「私だって怒るわよ」
確かに縁起でもないだろう。
そもそも、なぜお墓・・・墓場を描く必要があったのだろうか?
「そうよね」
「心に闇でも抱えていたの?」
それに関しては否定も肯定もしない。
一風、変わった子供であったのは間違いないからだ。
「さぁ、どうだろうね」
「ただ、その絵が・・・」
のちに才能を開花させるきっかけになった。
自分でも言うのもおこがましいが。
「それと同じ感じで描いた絵が」
「結構、いい感じの賞をとったことがあって」
美術館で飾られたことがあった。
「うそでしょ!?」
「ほんとだよ」
もちろん、墓石でも墓場の絵でもなかったのは確かだ。
「どんな絵か覚えてる?」
「残念ながら・・・」
雰囲気は覚えているが、説明ができない。
あまりにも独創的だったからだ。
| 固定リンク | 0
「(040)小説No.976~1000」カテゴリの記事
- [No.1000-2]ゴールor通過点?(2020.08.26)
- [No.1000-1]ゴールor通過点?(2020.08.25)
- [No.999-2]前向きな靴(2020.08.23)
- [No.999-1]前向きな靴(2020.08.20)
- [No.998-2]続く命(2020.08.05)
コメント