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[No.997-2]兄弟ってそんなもの

No.997-2

「こんな絵を描いて大丈夫だったの?」
「多分、知らないと思う」

怒られたり、ケンカした記憶はない。
もし、見られていたとしたら、容赦なかったはずだ。

「そりゃそうでしょ!」
「私だって怒るわよ」

確かに縁起でもないだろう。
そもそも、なぜお墓・・・墓場を描く必要があったのだろうか?

「そうよね」
「心に闇でも抱えていたの?」

それに関しては否定も肯定もしない。
一風、変わった子供であったのは間違いないからだ。

「さぁ、どうだろうね」
「ただ、その絵が・・・」

のちに才能を開花させるきっかけになった。
自分でも言うのもおこがましいが。

「それと同じ感じで描いた絵が」
「結構、いい感じの賞をとったことがあって」

美術館で飾られたことがあった。

「うそでしょ!?」
「ほんとだよ」

もちろん、墓石でも墓場の絵でもなかったのは確かだ。

「どんな絵か覚えてる?」
「残念ながら・・・」

雰囲気は覚えているが、説明ができない。
あまりにも独創的だったからだ。

「でもさぁ、姉が喜んでいたのは覚えてる」
S997
(No.997完)
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