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[No.998-1]続く命

No.998-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「今来も来たわよ」

どうでもいいことを報告する自分が居る。
でも、嫌な気分じゃない。

「待ってました!」

そのどうでもいいことを心待ちにしている人も居る。

「で、今年はどこに?」
「今年はね・・・」

一風変わった出会いとなった。
いや・・・正確には出会ってはいない。

「玄関の・・・」
「玄関!?随分と親しくなったのね!」

話はまだ終わっていない。

「玄関は玄関なんだけど」
「羽だけが落ちてたんだ」

それも一枚というか片方の羽だけ。

「セミそのものは?」
「それが居なかったんだよね」

昨日、出かけようと玄関の扉を開けた。
すると、玄関前にセミの羽だけが落ちていた。

「いつもなら、壁にくっ付いてたり」
「床でひっくり返ってたりしてるんだけど」

今年はその姿はなかった。

「食べられちゃったとか?」
「・・・かもしれない」

マンションの7階だけに、アリは寄ってこない。
恐らく、鳥に食べられたんだろう。

(No.998-2へ続く)

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