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2020年8月

ホタル通信 No.441

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

特別編(第三部)

さて、最後の第三部ではなぜ実話ベースの小説にしたかを書きたいと思います。

これも何度か記事にしていますが、当初は明確なポリシーがなく振り返るとSF的な要素が強い作品もあります。その内、幸か不幸か身の回りで、色々と変わったことが起こり始め、決定打になったのが“せいじゅうろう”、つまり“菜緒”の存在でした。
彼女は実在の人物で、正確には“奈央”と書きます。当初、小説の登場人物に名前を付けていた時、“なお”と読む名前が多いのはそのせいです。

早い話、日常を小説風に切り取れば、ネタに困らないように思え、それならばその路線で行こうと決めました。
ですからポリシーは比較的早い段階で固まり、ナンバーで言えばNo.10を超えたあたりから実話ベースの話になりました。ただ、残念ながら実話ベースでスタートしたものの、最近はその傾向が弱まりつつあります。これが私が言っている“感性が鈍ってきた”であり、このままブログを続けて行くべきかの判断基準でもあります。

話を戻すと、日常を切り取りながらも、奈央を応援する、奈央を存在を知ってもらう・・・これも隠れたポリシーでした。
不器用な生き方をしているというより、小さい頃から色々な面で恵まれない彼女でした。それを“せいじゅうろう”シリーズとして掲載を続けてきました。余談ですが、当初は小説をシリーズ分けしようと考えていましたが、蓋を開けてみると、シリ-ズ化したのはこれだけでした。雨女、雨男に関する小説も多く発表しているので、本来ならシリーズ化が可能なんですが、なぜだかそれには至りませんでした。

最後に、あらためてここまでお付き合いをしていただいた読者の皆様、本当に感謝いたします。特に拍手までしていただける方の存在も今やブログを続ける原動力になっています。
さて、1001話目以降ですが、少しお休みをいただいてから変わらず続けていくことにしましたので、よければまたお越し下さいね。

作者 ホタル

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ホタル通信 No.440

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

特別編(第二部)

第一部でブログを立ち上げるに至った経緯を書きました。第二部では、こうして長い間続けられた原動力を書きたいと思います。

以前も記事にしたことがありますが、ブログの開設当初、ページの構成やポリシー等を参考にさせていただいていたブログがありました。ありました・・・というくらいですから、今はもう辞められています。
参考にしたものをいくつか紹介すると、まず、トップページ(はじめに)を固定し、そこに連絡事項を書くようにしました。最近ではもっぱら、休みと再開のお知らせ程度にしか使っていませんが、そのブログを真似たものです。
もうひとつ紹介すると、毎日更新することです。さすがに、これについては、忠実に守っていませんが、それでもしばらくは毎日更新を続けていたんですよ。
ただ、さすがに更新できない・・・というか、うっかり更新を忘れることもあったりして、徐々に毎日更新のルールは緩めるようにしました。事情により休んだりすることも多々ありますが、今は基本的に週休二日で動いています。

さて、前置きが長くなりましたが、長い間続けられた原動力になったのは前述した“毎日更新”というルールです。
当初、毎日更新を厳格に守っていたこともあり、更新が習慣化したことで“更新しなきゃいけない!”と変な義務感が生まれ、趣味と言うより、仕事の一部として向き合ってきたことが一番の要因でしょう。
お世辞にも大人気のブログではないので、更新しようがしまいが誰も気にしていないのは間違いありません。それに、そもそも読者受けを狙った小説でもありません。あくまでも自己満足の世界です。

第一部で書きそびれたのですが、ブログを始めようと思ったのは実は2007年頃で、実際に活動が始まったのが、2009年ですから実に2年くらい、ダラダラしていました。
これからも分かるように、エンジンの掛かりは遅いが、一度動き出したらトコトン追求!するのが性格のようです。

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ホタル通信 No.439

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

特別編(第一部)

今年の4月下旬に、小説No.976を掲載、直後にホタル通信No.427で1000話に向けた想いを語りました。それから予告した通り、夏のピークがやや過ぎたころに1000話目を迎えることができました。
まずは、ここまでお付き合い頂いた、全ての読者の皆さんに感謝申し上げます。

今回のホタル通信では、1000話目を記念して、三部構成で色々と書いて行きたいと思います。第一部ではブログを立ち上げるに至った経緯について、あらためて書きたいと思います。

冬のホタルは、2009年2月にスタートしていますが、実はこの前身として、3本のブログを立ち上げたのがブログ生活の始まりでした。
1本は、冬のホタルに通じる短編小説のブログ、後、2本は作者の性別が分かってしまうので、詳しく書けないものの、いわば趣味趣向のブログでした。
3本ものブログを立ち上げた理由はアフェリエイトで小遣い稼ぎをすることが目的だったからです。ただ、“ブログでガッツリ儲けよう”と、そこまで強欲な考えはなかったものの、きっかけは間違いなく金銭的な面です。
そして、この金銭面に大きく関わっているのが、冬のホタルの代名詞とも言えるせいじゅうろうシリーズの主人公の女性です。この期に及んでもですが、その女性が作者である可能性もあります。

なぜブログが最終的に1本になったのかは、ご想像の通りでしょう。
3本ものブログを更新し続けるのは困難を極めたからです。ネタ自体は豊富にあったので、それに困ることはなかったのですが、完璧さを求める性格が災いして、自分で自分を追い詰めてしまう結果となりました。
そのため、多少なりとも文章を書くのが好きだったこと、彼女の半生を知ってもらう、応援する意味で小説のブログだけを残すことにしました。
前身のブログのタイトルは“オレンジ色の明日へ”だったと記憶しています。やや、自分のパーソナルカラーの意味合いもあったからです。No.50の小説がまさしくそれです。

このような紆余曲折と彼女の影響があり、その後、冬とホタルというキーワードが生まれ、新たにブログがスタートしたわけです。

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[No.1000-2]ゴールor通過点?

No.1000-2

「感性も鈍ってきているようだし」

加えて環境が大きく変わったこともその原因だ。

「それでも感心するわ」
「だって、約12年でしょ!?」

ただ・・・今、本気で考えなければならないことがある。

「・・・それが引き際ね」
「そう、続けるか、止めるか・・・」

私にとっては大きな問題だ。
もちろん、止めてしまうことはいとも簡単だ。

「お店をたたむわけじゃないからね」

けど、止めた後、どうなるのだろう・・・。
そもそも、本当に止めることが出来るのだろうか?

「止めた後の姿が想像できない」
「そうよね、もはや体の一部じゃない?」

まさしくその通りだ。
私の日常は、ブログの小説にぶつけてきたと言っても良い。

「で、実際どうしようと思ってるの?」
「それは・・・」

少なからず、ファンというか、拍手をくれる人達がいる。
感謝しても感謝しきれないくらい貴重な存在だ。

「1000話目はゴール?」
「それとも通過点?」

小説の質の低下に悩む日々・・・。
けど、少なからず楽しみにしてくれている人達の存在・・・。

「う~ん・・・」

大いに悩む。
でも、答えは最初から決めていたのかもしれない。

「1000話目は・・・」

さて・・・しばらく休んだ後、1001話目を掲載することにしよう。
もう、完成していることだし。
S1000
(No.1000完)
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[No.1000-1]ゴールor通過点?

No.1000-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
格好良く言えば、スポーツ選手に似ている。

「誰かに似てたっけ?」
「その“似てる”じゃなくて!」

とは言え、私の説明が不十分なことが原因だ。

「じゃあ、なに?」
「ええっと・・・ね」

似ているのは“引き際”だ。
つまり、引退のことだ。

「引退・・・何から?」
「ブログから」

ブログを始めて今年で11年と6ヶ月が過ぎた。

「確か小説を書いてるんだっけ?」
「うん、そうよ」

日常を切り取った、しがない小説を書き続けてきた。
書いている事実は知らせているが、詳細は隠したままだ。
ブログのタイトルも場所も。

「ごめんね、色々と事情があって」
「分かってるわよ」

身近な人に知られると、作品に影響する。
変にその話題を避けたり、つくろったりしてしまうからだ。

「まぁ・・・読んでみたい気もあるけど」
「そこは我慢するわ」

その小説が、いよいよ1000話目を迎える。

「えっ!?そうなの」

正直に言えば、1000話なんて目指してはいなかった。
もちろん、それ以上も。

「がむしゃらに突き進んだら・・・」
「1000話目でした・・・というのが今の心境」

でも、道のりは決して楽ではなかった。
特に1000話を目前に、作品作りにブレーキが掛かった。

(No.1000-2へ続く)

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[No.999-2]前向きな靴

No.999-2

「あなたも?」
「ほら、見てみなよ」

玄関先を指差す。

「ほんとだ・・・こっち向いてる」

もちろん、調子よく彼女に合わせたわけじゃない。
普段通り、家に上がった。

「向き、直す?」
「いいや、そのままでいいよ」

プライベートの空間だ。
そんな所まで神経を尖らせる必要はない。

「あなたらしいね」
「自宅ぐらい、自由にさせろよ!ってこと」

公共の場で、それなりに振舞えればそれでいい。

「それにさぁ」

僕がにやけていた理由はもうひとつある。

「今はつま先がこっち向いてるだろ?」
「でも、朝になったら」

彼女の靴も僕の靴も、つま先が外を向いている。
もちろん、心霊現象ではない。

「ほら、出掛ける前に向きを変えてくれてるだろ?」
「多分、無意識に」

それも、ここに来るようになって気付いた。

「・・・そうなの?」
「全然、意識してなかった」

たかが靴の向きの話だ。
でも、向いている未来まで同じに感じる。
S999
(No.999完)
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[No.999-1]前向きな靴

No.999-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「なによ、さっきからニヤニヤしちゃって」

おっと・・・顔に出やすいのは親譲りだった。
分かっていても直らない。

「そ、そうかな~」
「うそが下手なのも親譲り?」

どうやら裏の裏までお見通しのようだ。
確かに、うそをつくのも上手ではない。

「正直者って言って欲しいな」
「結果は同じでしょ」

ある出来事が僕をにやけさせる。
ただ、にやけさせる割には色気のある話ではない。

「で、なに?」
「そのにやけ顔の真相は?」

最近、彼女の家に泊まるようになった。
それで、あることに気付いた。

「靴だよ、靴」
「えっ!?靴がどうしたのよ?」

彼女は帰ってきた方向のままくつを脱ぐ。
つまり、つま先が家の中を向いている。

「やだぁー!」
「私が行儀悪く聞こえるじゃん」

実際、世間的には行儀が悪いとされるだろう。
ただ、それに関しては僕は強く言えない立場だ。

「まぁまぁ落ち着いて!」
「少なくとも僕もそうだから」

にやけた理由のひとつがこれだ。
何よりも彼女に親近感を覚えたからだ。

(No.999-2へ続く)

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ホタル通信 No.438

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.509 半券
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

半券を捨て忘れたのは事実ですが、それが恋愛話とは全くリンクしておらず、単なる“捨て忘れた”話です。

コートではなくとも、ポケットから捨て忘れた何かが出てくることは珍しくはありません。また、カバンの中から・・・ということも一度や二度は経験したことがあると思います。
さほど複雑な話ではないのですが、ストーリーを補足させて頂くと次のようになります。
一年前、私は別の人と付き合っていた。その時、おろしたてのコートを着ており、映画の半券をポケットに仕舞い込んだ。その半券が出てくるところからストーリーが始まります。

映画は恋愛の象徴だと思っていますので、半券も重要なアイテムのひとつでしょう。何気ない半券に当時の想いがギュっと詰まっているように思えます。
小説では、ゴミ扱いしているふしもありますが、「思い出までも捨てる必要はない」とかろうじてフォローはしています。ただ、この半券制度はいつまで続くんでしょうか?
今やネットやスマホの時代です。近い将来、半券がこの世から消えてなくなる日も来るでしょう。

オチは分かりますか?
特別、凝った作りではありませんが、これも補足させて頂くと、これからは捨て忘れた半券の話を現在の彼とする・・・つまり、この先“別れることがない”ということを遠回しに表現しています。
T438
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[No.998-2]続く命

No.998-2

「それはそれで残念ね」

毎年、夏になるとセミとの出会いがある。
出会いと言っても、ちょっと物悲しい出会いにはなるが・・・。

「そうね」
「あんなうるさい奴らだけど」

うるさい分、消え行く命が対照的だ。
毎年、そんな命と出会う。

「朝まで玄関先に居たかもね」
「・・・その可能性はあるわね」

私との出会いを果たす前に・・・というパターンだろう。

「けど、よく気付いたわね?」
「透明でしょ、羽って?」

そう・・・確かに注意しなければ分からないレベルだ。

「そうね、でもあの質感と形ですぐ分かったよ」
「さすが!」

もしかしたら、今年の出会いはこれだけかもしれない。

「セミがあなたに会いに来てたのかな?」
「なんで?」
「だって、玄関先までなんて、よっぽど・・・」

まぁ、その可能性も否定できない。
セミの世界では私は有名人なのかもしれない。

「有名人?」
「バカみたい!って言えないのが、あなたのすごい所よ」

とにかく、夏と共に何かと話題を運んでくれる奴らだ。

「それで、その羽は?」

プランターで育てているゴーヤの肥やしにした。
命が続いていくように願いながら。
S998
(No.998完)
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[No.998-1]続く命

No.998-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「今来も来たわよ」

どうでもいいことを報告する自分が居る。
でも、嫌な気分じゃない。

「待ってました!」

そのどうでもいいことを心待ちにしている人も居る。

「で、今年はどこに?」
「今年はね・・・」

一風変わった出会いとなった。
いや・・・正確には出会ってはいない。

「玄関の・・・」
「玄関!?随分と親しくなったのね!」

話はまだ終わっていない。

「玄関は玄関なんだけど」
「羽だけが落ちてたんだ」

それも一枚というか片方の羽だけ。

「セミそのものは?」
「それが居なかったんだよね」

昨日、出かけようと玄関の扉を開けた。
すると、玄関前にセミの羽だけが落ちていた。

「いつもなら、壁にくっ付いてたり」
「床でひっくり返ってたりしてるんだけど」

今年はその姿はなかった。

「食べられちゃったとか?」
「・・・かもしれない」

マンションの7階だけに、アリは寄ってこない。
恐らく、鳥に食べられたんだろう。

(No.998-2へ続く)

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[No.997-2]兄弟ってそんなもの

No.997-2

「こんな絵を描いて大丈夫だったの?」
「多分、知らないと思う」

怒られたり、ケンカした記憶はない。
もし、見られていたとしたら、容赦なかったはずだ。

「そりゃそうでしょ!」
「私だって怒るわよ」

確かに縁起でもないだろう。
そもそも、なぜお墓・・・墓場を描く必要があったのだろうか?

「そうよね」
「心に闇でも抱えていたの?」

それに関しては否定も肯定もしない。
一風、変わった子供であったのは間違いないからだ。

「さぁ、どうだろうね」
「ただ、その絵が・・・」

のちに才能を開花させるきっかけになった。
自分でも言うのもおこがましいが。

「それと同じ感じで描いた絵が」
「結構、いい感じの賞をとったことがあって」

美術館で飾られたことがあった。

「うそでしょ!?」
「ほんとだよ」

もちろん、墓石でも墓場の絵でもなかったのは確かだ。

「どんな絵か覚えてる?」
「残念ながら・・・」

雰囲気は覚えているが、説明ができない。
あまりにも独創的だったからだ。

「でもさぁ、姉が喜んでいたのは覚えてる」
S997
(No.997完)
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