[No.994-1]幸せな時間
No.994-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「なんか随分と様変わりしたな」
「そりゃそうよ、もう・・・年も経ってるからね」
ここにはかつて、大型スーパーがあった。
全国的に有名なあのスーパーの前身の店舗だ。
「何か、見通しが良くなったというか・・・」
「そうね、2階がなくなったからね」
1階が主に食料品で、2階が日用品の売り場だった。
2階には本屋やレコード店もあった。
「よく覚えてるね?」
「そりゃそうさ」
特にレコード店なんてそう多くはなかった時代だ。
始めて買ったのもこの店だった。
「まぁ、カセットテープだったけどな」
「確か、階段を上がったところだったよね?」
それは間違いない。
ただ、ちょっと変わった構造だった記憶がある。
「そうなんだけど・・・」
「階段が交差してなかった?」
通常、階段はその場所にひとつしかない。
エスカレーターと違い、上りと下りを分ける必要がないからだ。
「そう言われてみれば・・・」
丁度、階段の真ん中で別の階段に居る人に手が届く。
中には乗り越えようとするやつもいた。
「ほら、俺たちも・・・」
「・・・というより、あなたでしょ!?」
何がどうしたというわけではない。
昔は、こんな程度でも十分、遊べたものだ。
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