« [No.993-2]前世はカミナリ様 | トップページ | [No.994-2]幸せな時間 »

[No.994-1]幸せな時間

No.994-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「なんか随分と様変わりしたな」
「そりゃそうよ、もう・・・年も経ってるからね」

ここにはかつて、大型スーパーがあった。
全国的に有名なあのスーパーの前身の店舗だ。

「何か、見通しが良くなったというか・・・」
「そうね、2階がなくなったからね」

1階が主に食料品で、2階が日用品の売り場だった。
2階には本屋やレコード店もあった。

「よく覚えてるね?」
「そりゃそうさ」

特にレコード店なんてそう多くはなかった時代だ。
始めて買ったのもこの店だった。

「まぁ、カセットテープだったけどな」
「確か、階段を上がったところだったよね?」

それは間違いない。
ただ、ちょっと変わった構造だった記憶がある。

「そうなんだけど・・・」
「階段が交差してなかった?」

通常、階段はその場所にひとつしかない。
エスカレーターと違い、上りと下りを分ける必要がないからだ。

「そう言われてみれば・・・」

丁度、階段の真ん中で別の階段に居る人に手が届く。
中には乗り越えようとするやつもいた。

「ほら、俺たちも・・・」
「・・・というより、あなたでしょ!?」

何がどうしたというわけではない。
昔は、こんな程度でも十分、遊べたものだ。

(No.994-2へ続く)

| |

« [No.993-2]前世はカミナリ様 | トップページ | [No.994-2]幸せな時間 »

(040)小説No.976~1000」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.993-2]前世はカミナリ様 | トップページ | [No.994-2]幸せな時間 »