[No.995-1]バナナの先っぽ
No.995-1
登場人物
女性=牽引役 男性=相手
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「いつも悪いわね」
「いいよ、休みの日くらい」
最近、週末は彼と過ごすようになった。
「料理が得意だって知らなかったよ」
「料理?そんな大袈裟なものじゃないよ」
ある時、彼が朝食を作ってくれた。
目玉焼きに、ウィンナー・・・そしてサラダ。
「味よ、味!」
「なんかひと工夫されてるって感じ」
単なる目玉焼きだって何かが違う。
ホテルで出てきそうな見た目と味だ。
「そう?」
「まぁ、ちょっとでも美味しく食べるための知恵さ」
そのひと手間がうれしい。
特に私のような根っからの大雑把な女には。
「あーお腹すいたな!」
「おいおい、寝坊しといてそれかよ?」
彼が笑いながらやさしく応えてくれる。
甘えている自分・・・以前の私ならこうはいかなかった。
「もうすぐ出来るからさ!」
「まてないぃー!」
思う存分、ワガママを言ってみる。
一番、幸せな時間だ。
「お待たせ!」
「わぁ、美味しそう!」
定番だけど、何度食べても飽きがこない。
まぁ、だからこそ定番なんだろうけど・・・。
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