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[No.995-2]バナナの先っぽ

No.995-2

「飲食店でバイトとかしてたの?」
「いいや」

それなのにこの出来栄えだ・・・。
よほどセンスの持ち主とみていいだろう。

「言っとくけど」
「他の料理は作れないからな」

もちろん、私へのけん制じゃないのは分かってる。
でも、どうしても言ってみたい言葉がある。

「やれば出来るんじゃない?」
「そう来ると思ったよ!」

本気で彼の手料理を食べてみたい気になった。
いや、いっそのこと料理人になってもらったほうが・・・。

「料理人?冗談だろ?」
「・・・でも、悪い気もしないな」
「でしょ!」

そうしたら、いつでもご馳走にありつける。

「こら!調子に乗るんじゃないぞ」
「ばれた?」

ただ、その素質は十分あると思う。
それに味だけじゃなく、彼のやさしさがうれしい。

「いつものバナナも置いとくぞ」
「ありがとう!」

あらためて、バナナを確認する。
いつもの通り、剥きやすいように先端に切れ目が入っている。

「なんだよ?ニヤニヤして」
「ううん、何でもないよ!」

バナナの先っぽをつかむ瞬間が好きだ。
S995
(No.995完)
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