[No.997-1]兄弟ってそんなもの
No.997-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「なにこれ?」
「見ての通り、お墓だよ」
彼女が小さい頃に書いた絵を見ている。
絵と言っても、画用紙に殴り書きしている程度の絵だ。
「・・・これガイコツだよね?」
「そうみたいだな」
多分、幼稚園の時に書いたものだろう。
「墓場にガイコツ・・・か」
「子供にとっては鉄板ネタだろ?」
ある意味、そこが墓場だということが分かる。
「でもさぁ、子供って残酷よね」
「これ、お姉ちゃんの名前でしょ?」
絵に描かれた墓石らしきものを指差す。
そこに書かれている名前は、紛れもなく姉の名前だった。
「そうだよ」
「兄弟って、そんなもんだよ」
特別、姉が嫌いだったわけじゃない。
単なる悪ふざけのひとつに過ぎない。
「まぁ、当時は」
「悪ふざけとも思ってなかっただろうけど」
口悪く言れば、それが日常だった。
繰り返しになるが、兄弟ってそんなものだ。
「ふ~ん・・・そんなもんなんだ」
ひとりっ子の彼女には理解し難いのかもしれない。
兄弟の関係は。
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