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[No.986-2]その代わりに

No.986-2

「何よ、ただ・・・って?」
「そう言えば、その割には浮かない顔だったもんね」

今の私にとって最高の夢だった。
夢の中で大発明のヒントをもらったのと等しいくらいだ。

「じゃあ、何でそんな暗い顔なのよ」
「・・・よくあるパターンよ」

目覚めた瞬間・・・覚えていない。

「ん?さっき、最高の夢だったって・・・」
「それに、最高のオチとも言ってたじゃん?」

それは間違いない。
確かに最高の夢だったし、最高のオチだった。

「その“余韻”だけ覚えてる・・・」
「・・・間違いなく最高だったの」

自分でも矛盾していると思う。
けど、忘れたけど覚えている・・・こう表現するしかない。

「・・・そうなんだ」
「それは残念ね」

繰り返すようだけど、確かに最高のオチだった。
今でも夢の中で輝いていた自分を覚えている。

「まぁ・・・それも“余韻”だけどね」
「・・・だったわね」

“逃した魚は大きい”とでも言えば良いのだろうか?

「それにしても、オチが気になるわね、やっぱり」
「けど、諦めることにする」

その代わり・・・。
S986
(No.986完)
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