[No.989-2]あなたが遠くなりそうで
No.989-2
「あいつとは逆で」
「あなたは、裏ではそこそこ人気があったのよ」
これまた初めて聞く話だった。
「うそだろ?」
「うそじゃないわよ」
告白なんてされたこともない。
それ以前にバレンタインにチョコすらもらったことがないのに。
「そのわりにはモテた記憶がないぞ」
「そりゃそうよ」
(何だよ、“そりゃそうよ”って?)
「彼女が居ると思われてたからね!」
「はぁ?」
もちろん、彼女なんかいない。
こればかりはしっかり覚えている。
「誰だよ、その彼女って?」
この際、聞いておこう。
「ごめん、それは言えない」
「・・・言えない人?」
会場を一通り見渡してみる。
それらしい女子はいない。
「ところで、おまえはどっちに投票したの?」
「私!?」
今まで肝心なことを聞いていなかった。
「正直に言うけど、あいつ・・・だよ」
「・・・だろうな」
悔しいけど、今でもイケメンぶりは健在だ。
今も女子たちに囲まれている。
「あなたが委員長になったら・・・」
「・・・あなたが遠くなりそうだったから」
(No.989完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(040)小説No.976~1000」カテゴリの記事
- [No.1000-2]ゴールor通過点?(2020.08.26)
- [No.1000-1]ゴールor通過点?(2020.08.25)
- [No.999-2]前向きな靴(2020.08.23)
- [No.999-1]前向きな靴(2020.08.20)
- [No.998-2]続く命(2020.08.05)
コメント