[No.989-1]あなたが遠くなりそうで
No989-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「ねぇねぇ、覚えてる?」
「またその話題かよ・・・」
とは言え、嬉しくないわけがない。
言わば僕の最初のモテ期だったからだ。
「嬉しいくせに」
「えっ!?バレてた?」
同窓会に来るといつもこの話題が出てくる。
クラス全員を巻き込んだ大騒動だったからだ。
「あの時は凄かったね!」
「あぁ・・・クラスが二分したもんな」
5年生の時、ある男子と学級委員長の座を奪い合った。
ただ、僕は選挙戦で言う“対抗馬”の存在だった。
「あいつは確かに人気はあったけど」
「同時にアンチも多かったのよ」
「そうなの!?」
いまさらながら初めて聞く話だ。
「知らなかった?」
「あぁ・・・」
もちろん圧倒的人気だったことは知っていたが。
「じゃあもうひとつ・・・知らない話をしていい?」
「・・・何だよ、こわいな」
結果的に僕は委員長になれた。
もちろん、大番狂わせだったのは言うまでもない。
「それよ、それ!」
「それ・・・って?もしかして大番狂わせのこと?」
彼女が大きくうなづいた。
「大番狂わせだったわけじゃないのよ」
「・・・どう言う意味?」
そもそも出馬した理由だって記憶が怪しい。
誰かに推選されたようなされないような・・・。
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