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2020年6月

[No.989-2]あなたが遠くなりそうで

No.989-2

「あいつとは逆で」
「あなたは、裏ではそこそこ人気があったのよ」

これまた初めて聞く話だった。

「うそだろ?」
「うそじゃないわよ」

告白なんてされたこともない。
それ以前にバレンタインにチョコすらもらったことがないのに。

「そのわりにはモテた記憶がないぞ」
「そりゃそうよ」

(何だよ、“そりゃそうよ”って?)

「彼女が居ると思われてたからね!」
「はぁ?」

もちろん、彼女なんかいない。
こればかりはしっかり覚えている。

「誰だよ、その彼女って?」

この際、聞いておこう。

「ごめん、それは言えない」
「・・・言えない人?」

会場を一通り見渡してみる。
それらしい女子はいない。

「ところで、おまえはどっちに投票したの?」
「私!?」

今まで肝心なことを聞いていなかった。

「正直に言うけど、あいつ・・・だよ」
「・・・だろうな」

悔しいけど、今でもイケメンぶりは健在だ。
今も女子たちに囲まれている。

「あなたが委員長になったら・・・」
「・・・あなたが遠くなりそうだったから」
S989_20200630230501
(No.989完)
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[No.989-1]あなたが遠くなりそうで

No989-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇねぇ、覚えてる?」
「またその話題かよ・・・」

とは言え、嬉しくないわけがない。
言わば僕の最初のモテ期だったからだ。

「嬉しいくせに」
「えっ!?バレてた?」

同窓会に来るといつもこの話題が出てくる。
クラス全員を巻き込んだ大騒動だったからだ。

「あの時は凄かったね!」
「あぁ・・・クラスが二分したもんな」

5年生の時、ある男子と学級委員長の座を奪い合った。
ただ、僕は選挙戦で言う“対抗馬”の存在だった。

「あいつは確かに人気はあったけど」
「同時にアンチも多かったのよ」
「そうなの!?」

いまさらながら初めて聞く話だ。

「知らなかった?」
「あぁ・・・」

もちろん圧倒的人気だったことは知っていたが。

「じゃあもうひとつ・・・知らない話をしていい?」
「・・・何だよ、こわいな」

結果的に僕は委員長になれた。
もちろん、大番狂わせだったのは言うまでもない。

「それよ、それ!」
「それ・・・って?もしかして大番狂わせのこと?」

彼女が大きくうなづいた。

「大番狂わせだったわけじゃないのよ」
「・・・どう言う意味?」

そもそも出馬した理由だって記憶が怪しい。
誰かに推選されたようなされないような・・・。

(No.989-2へ続く)

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ホタル通信 No.433

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.472 カモとハト
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

とても懐かしい匂いがする小説です。内容はともかく今では書け
ないタイプの小説だからです。

何度か記事にしていますが、ブログを始めた理由は“ある人”を
陰ながら応援するというか、その人だけに向けた情報発信と言っ
ても良いかもしれません。
また、見方を変えれば世の中の人に、彼女の存在を知って欲し
かったとも言えなくもありません。

この小説は内容こそハトとカモの話ですが、ハトは彼女の象徴
的な存在でもあり、度々小説のモデルにもなっています。
ハトは群れているイメージの方が大きいですが、一羽だけポツン
と行動して場合も少なくありません。それが寂しいのかどうかは
ハトに聞いてみないとわかりませんが、私にはどうしても彼女と
重なってしまいます。重ねあわせることで、何らかの痛みを和ら
げようとしているのかもしれませんね。
彼女をハトに例え、直接的な表現を避けることでバランスを取っ
ているということでしょうか?

今回は少し哲学的なホタル通信になってしまいましたが、冒頭
で書いた通り、本来はこれが“冬のホタル”の小説です。
最近、質の低下が著しく、少し自分を見つめなおす意味でも読み
返して大変刺激を受けた小説でした。
T433
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[No.988-2]30年後の未来

No.988-2

「でもさぁ・・・」
「私たちはどうなってるんだろうね」

まず言えることは確実におじさんとおばさんになっている。

「夢がないこと言わないの!」
「だって事実だろ?」

でも、ほんと僕らはどうなるのだろうか・・・。
あらためて考えると、30年は長い。

「私はお嫁さんになって・・・」
「そうね・・・子供は3人ってとこかな」

その頃にはすでに子供も成人になっているだろう。

「随分とリアルな話になってないか?」
「そう?」

まぁ、女子らしい堅実な未来だ。

「なによ、女子らしいって」
「それならあなたは?」

僕はただ未来だけを考えている。
30年後なら今度こそ、車が空を飛んでいるだろう。

「男子らしい未来ね」
「何だよ、男子らしいって」

さっき言われたことを言い返してきた。

「あはは」

彼女もこの後、つられて笑い始めた。

「それじゃ、30年後に向けて準備しなくちゃね!」
S988
(No.988完)
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[No.988-1]30年後の未来

No.988-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ある意味、すごくない?」
「かもな」

テレビで昔のSF映画を放送していた。
上映当時、僕らはまだ生まれていなかった。

「当時としては30年後なんて相当未来だもんな」
「そりゃそうよ」

その映画では30年後の未来も描かれていた。
いわゆるタイムトラベルをテーマにした映画だった。

「その30年後が5年前なんだもん」
「なんだか笑っちゃうね」

そう・・・僕らは描かれていた未来をとっくに通り過ぎていた。

「ほら、テレビ電話なんてさぁ」

当時としては未来の象徴的な存在だったに違いない。
それこそ携帯電話すらなかった時代だ。

「今じゃ、これだもんね」

そう言うとスマホを取り出した。
もはやテレビ電話という言葉さえ死語に近い。

「こうなるなんて思ってなかったと思う」
「当時の人たちは」

そう考えると、今から30年後はどうなっているのだろうか?

「スマホなんて無くなってるかもね」
「あり得るな」

想像もつかないものが世に溢れかえっているかもしれない。

(No.988-2へ続く)

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[No.987-2]何が変わったの?

No.987-2

「そうとは言えない?」
「だって、高校生までは毎日見てたんだから」

身長自体は中学生になってからそう変化はない。
悲しいけど・・・。

「なに、自虐的な話?」
「違うわよ・・・」

だから、単に身体的な理由ではない。

「よくある話じゃん」
「大人になったからでしょ?」

そう考えるのは一般的だ。
同じ目線、同じ視点で見てるのに、脳がそうとは言わない。

「・・・言わない?」
「面白い表現するわね」

まるで何かを認めたくないかのようだ。

「でも、そんな感じなんだよ」
「まぁ・・・分からなくもないけどね」

大人になったのではなく、逆に子供になった気分だ。

「実家に帰る理由って、そんなもんじゃん」
「子供の戻るというか、戻りたいというか・・・」

友人にしては的を得た発言だと思う。
確かに、今回だって・・・。

「そうね・・・そうかもしれない」
「で、こっちに戻ってきてどうなの?」

実家では、いつになくゆっくりできた。
何もかも忘れて・・・。

「いつもと変わらない風景よ」
「大きくもなく、小さくもなく」

ただ、今日に限っては友人が大きく見えた。
S987
(No.987完)
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[No.987-1]何が変わったの?

No.987-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
最近、実家に行く機会が増えてきた。
それと共に、ふと思うことがある。

「相変わらず、田舎ね」

悪意がないのは分かっている。
でも、この口の悪さは何とかして欲しいものだ。

「あなたの所もでしょ?」
「一緒にしないでよ」

この話になると決まって言われる決まり文句がある。

「私の所は、近所にコンビがあるからね!」

もちろん、私の所にもコンビニがないわけじゃない。
ただ、家から遠いだけだ。

「もう聞き飽きたわよ、それ」

友人に実家近くの風景を写真に撮って見せた。
何かを感じ取って欲しくて。

「田舎じゃなくて、景色がいい場所なの!」
「人はそれを田舎と呼ぶ・・・」

嫌味な表現が憎らしい。

「で、それがなにか?」

実家のすぐそばの土手を歩いてみた。
かれこれ・・・年振りだった。

「なんかさぁ・・・全部が小さく見えて」

よくある話だと思う。
子供の頃に見えた景色は大きいが、今はそう感じない。

「そりゃそうでしょ、成長してるんだし」

もちろん、身長の影響が大きいとは思う。
けど、そうとは言えない部分もある。

(No.987-2へ続く)

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ホタル通信 No.432

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.478 背を向けるわけ
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

ホタル通信を書くに際して読み直してみると、なんともせつない
光景が浮かんできました、ところが・・・。

実話度が示す通り、きっかけとなるものはありましたが、小説の
ような展開はなく、全て創作です。ありがちなテーマだと思って
いますが、そこに何かを感じずにはいられませんでした。
本当なら、せつなく、でも前向きな話として綺麗に終わるはずだ
ったのでしょうが、ラストに衝撃的な展開が待っていました。自分
で言うのもなんですが、完全に忘れていました。

これは冬のホタルでは極めて珍しいラストです。結構、ブラック
なパターンですよね。ホント、自分でもビックリでした。
良く言えば、超前向きであったり、強い女性・・・ということになる
かもしれませんが、これはちょっと引いてしまいますね。もしか
したら、映画やドラマなどのワンシーンにあって、その印象が色
濃くでたのかもしれません。
さらにブラック色を強めようとするなら、背中を見送る彼も「やれ
やれ、これであいつの顔を見ずにすむな」なんて展開もありで
しょうね。こうなると、もはや冬のホタルではありませんが(笑)

話は反れますが、最近、LINE形式で小説が読めるスマホアプリ
に、作品の投稿を始めました。もちろん、本職はブログなので、
あくまでもお試しです。
ただ、ブログと線引きを明確にするため、今のところ、アカウント
はホタルではなく、さらにジャンルは「ホラー」です。もしかしたら
そのうちブログで紹介させてもらうかもしれません。
T432
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[No.986-2]その代わりに

No.986-2

「何よ、ただ・・・って?」
「そう言えば、その割には浮かない顔だったもんね」

今の私にとって最高の夢だった。
夢の中で大発明のヒントをもらったのと等しいくらいだ。

「じゃあ、何でそんな暗い顔なのよ」
「・・・よくあるパターンよ」

目覚めた瞬間・・・覚えていない。

「ん?さっき、最高の夢だったって・・・」
「それに、最高のオチとも言ってたじゃん?」

それは間違いない。
確かに最高の夢だったし、最高のオチだった。

「その“余韻”だけ覚えてる・・・」
「・・・間違いなく最高だったの」

自分でも矛盾していると思う。
けど、忘れたけど覚えている・・・こう表現するしかない。

「・・・そうなんだ」
「それは残念ね」

繰り返すようだけど、確かに最高のオチだった。
今でも夢の中で輝いていた自分を覚えている。

「まぁ・・・それも“余韻”だけどね」
「・・・だったわね」

“逃した魚は大きい”とでも言えば良いのだろうか?

「それにしても、オチが気になるわね、やっぱり」
「けど、諦めることにする」

その代わり・・・。
S986
(No.986完)
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[No.986-1]その代わりに

No.986-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・」

登頂した瞬間、谷底に突き落とされた気分だった。

「どうしたの・・・浮かない顔ね?」
「・・・もしかして」

顔を見ただけで覚られてしまう自分が居る。
・・・何とも安っぽい女だ。

「その“もしかして”だよ」
「また、ブログのこと!?」

1000話掲載を前にして、ピンチの連続だ。
ここに来て本格的にネタ不足に悩まされている。

「私にはそう見えてなかったけど?」
「表向きは・・・ね」

そんな時、ある夢を見た。

「あら、珍しいじゃん、夢の話なんて?」
「苦悩が夢にまで影響しちゃって・・・」

よほど深刻なのか、ネタ不足に陥る夢を見た。
けど、そこで大逆転が起きた。

「夢・・・の話だよね?」
「そう!残念ながら」

その夢では、ある画期的とも言える“オチ”でラストを迎えた。
まさしく救世主と言っても言い過ぎではない。

「えっー!興味あるぅ!」

ただ・・・。

(No.986-2へ続く)

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[No.985-2]風に揺られて

No.985-2

「ツルで必死にしがみついてるやろ?」
「まぁ・・・確かに」

それは僕も思うところがある。
誰に教えられたわけでもなく、棒や網にしがみつく。

「いつの間にか、しがみついてるんだよな」
「目があるわけでもないのに」

僕もツルに見とれるタイプの人間だ。
不思議さと相まって、色々と考えてしまう。

「人間も同じやね」
「・・・かもな」

彼女が熱心に見ていた理由がわかり始めた。
どうやら、それに自分を重ね合わせているようだった。

「ほら、そのツルだって・・・」

今は風に揺られて、空を切っている。
でも、そのうちどこかにしがみつくだろう。

「せやね」
「それでいいんじゃないかな?」

彼らにとってそれが生きるすべなんだと思う。
しがみつくことは、すなわち生きることなんだ。

「なにカッコつけてんねん!」
「い、いや・・・あはは・・・」

ついつい、熱く語ってしまった自分が居る。

「せやけど、嫌いじゃない」

そう言うと、しがみついてきた。
彼女の手もまた、空を切っていた一人だった。
S985
(No.985完)
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[No.985-1]風に揺られて

No.985-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「珍しいの?」

ベランダで育てているゴーヤを熱心に観察している。
育てていること自体は話したことがあったはずだ。

「実は知ってるけど」
「それ以外は知らんかったわ」

それは言えている。
僕自身も育てて見るまで知らなかった。

「結構、“ひょろひょろ”だろ?」
「うん!びっくりするくらい」

実に似合わず、茎は細い。
これであんな立派な実がなるものだとは信じ難かった。

「それに、雑草感があるしな」

見た目はどこにでも生えている雑草とそれほど変わらない。

「ほんまやね」
「ゴーヤには悪いけどね」

けど、そのギャップが魅力なのかもしれない。
事実、こうして育てている。

「頑張ってるやん!」
「そ、そうかな?」

唐突にお褒めの言葉をいただいた。
ゴーヤは今年で、4年目になる。

「あんたと違う、ゴーヤにゆうてんねん」
「えっ!?そうなの?」

何か勘違いしているらしい。

(No.985-2へ続く)

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ホタル通信 No.431

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.550 下流のごみ
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

この小説、少し変わった特徴があります。何だか分かります?
もちろん、内容だということには間違いないのですが・・・。

ゴミをテーマにすることは決して多くはないのですが、書き難く
はありません。どちらかと言えば書きやすいと思っています。
ゴミと言ってしまえばそれまでですが、ゴミになる前はまだ何ら
かの価値があったと思います。
そこに思い出や捨てられない何かを重ね合わせる・・・ない展開
ではありません。ですから、ゴミは私にとっては魅力的なテーマ
のひとつだと言っても言い過ぎではありません。

随分と前置きが長くなりましたが、冒頭に書いた変わった特徴
とは、こんな小説的にもかかわらず、比較的、拍手の数が多い
小説なんです。
自分では魅力のあるテーマだと思っていても、他人から見れば
ただのゴミの話です。それにもかかわらず拍手をいただけてい
るのは、何ともうれしい限りです。ラスト付近に、私の心情のよう
なものは書かれていますが、それ以外は状況説明が主です。
どこに共感いただけたのか、不思議なくらい・・・というより、申し
訳ないくらい、有難いことです。

実は今でも川を眺めるのは好きです。
川が好きというより、昔々の子供の頃、それこそ、やんちゃだっ
た時代を思い出させてくれるからです。
ただ、思い出しているのは自分のことだけでけではありません。
時代そのものを思い出しているんです。
T431
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[No.984-2]金と銀

No.984-2

「どれどれ・・・」

また、中身を確認している。

「あったぁ!」
「あっ!」

彼女が何を探していたのか、すぐに分かった。
それを見せられたからだ。

「金と銀ね!」
「そっ!」

地味な折り紙の中にあって、ひと際、目立つ存在。
そう言えば、当時も大人気だった気がする。

「それは記憶に残ってる・・・」
「圧倒的な存在だったよね!」

他の色は何枚も入っているのに、金と銀はそれぞれ1枚だけだ。

「・・・何に使ったんだろうね」
「封を切ってたやつ」

そう言われてみればそうだ。
金と銀はすでに使われていた。

「まぁ、無難なところで鶴とか、兜とか?」
「私なら・・・」

女子なら・・・何だろう?
意外に思いつかない。

「・・・私なら?」
「平凡でいいや?」
「なにそれ?!」

この会話から25年後にようやくその意味がわかった。
S984
(No.984完)
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[No.984-1]金と銀

No.984-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「おっ!懐かしいものを見つけたぞ」
「・・・折り紙じゃん」

それも封を切っていない新品だ。

「それって・・・」
「多分、幼稚園の頃だろうな」

封が切られた折り紙も数冊あった。

「好きだったの?」
「えっ!?覚えてないよ」

好きや嫌いよりも、折り紙で遊んだ記憶も怪しい。
全くと言っていいほど覚えていないからだ。

「ちょっと見せて」
「・・・その封を切ってるやつ」

何やら中身を確認している。

「おいおい・・・別に何も隠してないぞ?」
「・・・やっぱりね」

(やっぱり?)

「何がやっぱり何だよ?」
「まぁ、“折り紙あるある”って言えばいいのかな?」

そう言うと、今度は封を切っていない折り紙に手を付けた。

「いいでしょ?」
「・・・あぁ、構わないよ」

別にプレミアム価格が付くようなお宝でもない。
それに何の思い入れもない。

(No.984-2へ続く)

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[No.983-2]あっちからこっちを

No.983-2

「普段は、あっちからこっちを見てるけど」
「今日は、こっちからあっちを見てる」

ごく当たり前のことを言っている。
でも、なぞなぞ風に聞こえるのは僕だけだろうか?

「話を戻すけど、たまにはいいだろ?」

思い付きでいつもの散歩に変化を付けてみた。

「そうだね!それに・・・」
「何だよ?」

何か言いたそうな顔をしている。

「元、焼肉屋を見てて気付いたんだけど・・・」
「腹でも減ったのか?」

まぁ、僕的にも悪くない話だ。
丁度、そんな時間帯にもなってきた。

「バカね、あなたと同じにしないでよ」
「じゃぁ、何だよ?」

焼肉屋を見て思い出すものと言えば・・・。
何も思いつかない。

「そうじゃなくて」
「あっちを見てたら、あなたの顔がね」

何か顔に付いているとでも言いたいのだろうか?
慌てて顔をゴソゴソとしてみた。

「もぉ!いつもは左側しか見てなかったけど」
「今日は右側の顔を見てる」

(・・・だから、それが?)

「案外、いいかも」
S983
(No.983完)
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