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[No.983-1]あっちからこっちを

No.983-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「どう?」
「そうね、案外いいかも」

いつもの散歩コースを歩いている。
でも、今日はちょっとだけ趣向を凝らせてみた。

「だろ?」
「見える景色はそれほど変わってないのにね」

今日は道路を挟んで、反対側を歩いている。
するとあることに気付いた。

「あの店って、焼肉屋だったんだ」
「元・・・だろうけどね」

随分前に畳んだような店がある。
もちろん、人の気配もまるで感じられない。

「いつもの道だと、頭上の看板が見えないからね」

それが反対側だとよく見えた。

「すごい今更感がある」
「ここに越して来て、何年だっけ?」

指折り数えてみる。
分かってはいるけど。

「丁度、10年かな?」
「10年目の新発見!?」

ちょっと大袈裟だけど、言い過ぎでもない。
知っているようで知らないのが、身近な存在だ。

「ほら、他にも・・・」

気付けていないものがあるようだった。

(No.983-2へ続く)

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