[No.975-1]話したいこと
No.975-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「普通・・・ね」
「だから言ったろ!?」
中学生の頃の通知表を見ている。
そこには至って“普通”の数字が並んでいる。
「得意な科目は?」
「みれば分かるだろ!?」
オール3だから得意も不得意もない。
「ひとつくらい5とかあってもいいのにね」
「嫌味か、それ?」
けど、それはそれで一理ある。
勉強は出来なくても体育や美術は優れているとか・・・。
「学習塾とかは?」
「ううん、行ったことない」
理由は色々あったと思う。
そもそも僕が勉強に興味を持っていなかったことが大きい。
「別に嫌いだったわけじゃないぞ!」
「それなりに勉強はしてた・・・けどな」
さすがに学校の授業だけではついていけない部分もある。
それは理解していた。
「でも、それ以上どうかしたいとか欲もなくて」
それを親は分かっていたと思う。
都合よく言えば子供の意志を尊重してくれていた。
「それでも受験時期になるとさすがにね」
「行ったの?」
そんなある日、母が僕のために学習教材を用意してくれた。
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