[No.977-1]あの木
No.977-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「珍しいね・・・」
「夢の話をするなんて」
自分でもそう思っている。
夢なんて支離滅裂な展開ばかりで人に聞かせる話ではない。
「そうなんだよな」
「でも、妙に記憶に残ってて・・・」
もちろん今回も支離滅裂の展開だ。
だから、夢自体を説明する気はない。
「夢の中でね、とある木が出てきて・・・」
「昔、実家に植えられていた木なんだよね」
昔・・・と言うくらいだから、今はもうない。
家の建て替えをした時に、切ってしまったと記憶している。
「何の木?」
「それが・・・何の木だったかは知らない」
親に聞いたこともなければ、これとった特徴もない。
物心付いたころには、もう植えられていたからだ。
「だから夢の中に出てきてビックリしちゃって」
「夢に出てくるまで、その存在を完全に忘れてたからね」
それこそ・・・ぶりに思い出した。
夢がなければ一生思い出すこともなかっただろう。
「想い出の木・・・とか?」
「いいや、空気みたいな存在」
色々な意味で特別な木ではない。
ある意味、僕にとっては雑草と、さほど変わりはない。
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