[No.974-2]After Tone
No.974-2
「ったく・・・」
「大事に扱ってよ」
しばらくすると懐かしい曲が流れてきた。
数えきれないくらい聞いた曲だ。
「どう?」
「どう・・・って・・・」
当時、私にとっては歌詞が大人過ぎた。
そのアーティスト自体、素敵な大人の女性だったからだ。
「今なら少しは理解できる・・・かな」
「へぇ~そうなんだ?」
付き合っていた彼と別れた。
フラれたのではなく私からフッた形になった。
「なのに、私の方が引きずったままで」
「そんな時、このCDに出会ったの」
彼はすぐに新しい彼女をみつけた。
それが私に追い打ちをかけた。
「そう言えばそうだったわね・・・」
「で、今はどうなの?」
今はもう未練はない。
その証拠に、そのCDがあることさえ忘れていた。
「もう私には必要ないよ」
「そう、それを聞いて安心したよ」
今までの行為は友人なりの心配の仕方だと解釈しておこう。
あえてそのCDの話題を振ってくれたということで。
「何ならあげるよ、そのCD」
「ううん、いらない・・・持ってるから」
(No.974完)
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