« [No.973-2]ここにも春が | トップページ | [No.974-2]After Tone »

[No.974-1]After Tone

No.974-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・ん?」
「どうしたの?」

友人が何か見つけたようだ。
とは言っても今はそんな場合じゃない、本当は。

「このCD懐かしいね!」
「ちょ、ちょっと・・・」

さっきから手伝ってるのか邪魔してるのか分からない。
何かにつけ手が止まる。

「まだ持ってたんだ?」
「別にいいでしょ!?」

高校生の時に買ったCDだ。
でも、その頃に発売されたものではない。

「やっぱり忘れられないんだぁ?」
「何によ、その“だぁ”って!?」

言い方が引っ掛かる。
少なくとも心配されているようには聞こえない。

「まぁ、そんなに突っかからないでよ」

そう仕掛けているのは友人の方だ・・・と言いたい。

「ねぇ・・・久しぶりに聞いてみない?」
「今!?」

繰り返すが今はそんな場合じゃない。
引っ越しがもう明日に迫っているからだ。

「パソコンは最後にしまうんでしょ?」
「まぁ、そうだけど・・・あなた・・・」

全てを答え終わる前にすでにパソコンの前に座っていた。
間髪入れずに“カチャリ”とトレーが開く音が聞こえた。

(No.974-2へ続く)

| |

« [No.973-2]ここにも春が | トップページ | [No.974-2]After Tone »

(039)小説No.951~975」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.973-2]ここにも春が | トップページ | [No.974-2]After Tone »