[No.967-2]気が早い桜
No.967-2
「せっかくだから、他にも見てまわろうよ!」
「見るまでもないだろ?」
彼がとどめを刺してきた。
「ほら、向こうの方は分からないじゃん!」
「そうか?俺には咲いてないように見えるけどな」
並木はかなり遠くまで続いている。
だから、可能性はゼロではない。
「もし咲いてたらラッキーじゃん!」
「良いことあるかもね!」
強引だけど、桜自体にはとても良いイメージを持っている。
少なくともアンラッキーなアイテムではない。
「行ってみようよ!」
「・・・そこまで言うなら」
渋々ながらも二人で歩き始めた。
「やっぱり、咲いてないね・・・」
期待を込めて歩き始めたものの、やはり寂しい枝ばかりだ。
そろそろゴールも近い。
「ごめん・・・ここまで来たのに」
「別にいいさ」
さっきまでとは態度が違った。
よほど私の落胆ぶりを気遣ってくれてるのだろう。
「ここに来るまでに咲いてただろ?」
「笑顔という桜が」
(No.967完)
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