[No.970-2]ここは私の場所
No.970-2
「君はいつも右だったの?」
ちょっと意地悪な質問を投げてみた。
多少なりとも興味があるからだ。
「それって、右左が聞きたいの?」
「それとも、恋愛経験?」
どうやら見抜かれていたようだった。
後者の意味が強いからだ。
「えっ・・・まぁ・・・どっちも・・・」
「ふふふ、正直ね・・・私はね・・・」
右左については、彼女も覚えていないと言う。
「だって意識したことないもん!」
むしろ覚えている方が不自然だろう。
「で、後者も聞きたい?」
「・・・いや、やめとく」
過去を詮索するのはよくない。
それに聞き方も卑怯だ。
「真面目なんだから」
「そう、からかうなよ・・・」
同じ大学内に元彼が居る・・・そうなれば意識せざるを得ない。
僕の場合がそうだからだ。
「でもね」
「あなたの元カノがここに居ることは知ってるよ」
広いようで狭いのが大学のキャンパスだ。
どこかで見られていたらしい。
「そ、そうなんだ・・・」
「どこの誰かは知らないけど、いつも右側を歩いてたよね?」
(No.970完)
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