« [No.969-1]お互い大変ね・・・ | トップページ | [No.970-1]ここは私の場所 »

[No.969-2]お互い大変ね・・・

No.969-2

悟られないようにさらに断片的な会話が続く。
ようやく合図を送った主旨が見えて来た。

「それに、もうひとりは・・・」
「・・・ほんとだ」

カキフライの定食だろう・・・確かメニューにもあった。
それにしてもかなりの量だ。

「意外・・・なんていったら怒られるね」
「・・・そうよ」

トンカツやカキフライは若者だけの食べ物じゃない。
分かっているけど、何だか“負けた”気分だ。

「それに引き換え私たちは・・・」
「あはは・・・だね」

本当はそれを食べたいのに、我慢している。
魚はそれほど好きじゃない・・・お互い。

「注文し直す?」

注文してからそれほど時間は経っていない。
今ならまだ間に合うかもしれない。

「ううん・・・調理に入っていたら悪いし」

店に迷惑は掛けたくない。

「今度頼もうよ」
「そうね、た、たまにはいいよね?」

自分で自分に言い聞かせているようだ。

「ん?」

また、友人が合図を送ってきた。
今度は、反対の席だ。

「お互い大変ね・・・」

若い女の子が頼んだ料理が運ばれてきた。
私たちよりももっとヘルシーそうな料理だった。
S969 
(No.969完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.969-1]お互い大変ね・・・ | トップページ | [No.970-1]ここは私の場所 »

(039)小説No.951~975」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.969-1]お互い大変ね・・・ | トップページ | [No.970-1]ここは私の場所 »