[No.968-1]サプライズ
No.968-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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ドラマにでも出てきそうなシーンを体験した。
「ほんと、ビックリしたね!」
「あぁ、まさしくサプライズだったよ」
さっきまで、彼女の誕生日を祝っていた。
何度か訪れたことがある店だった。
「でも、どうして分かったんだろうね?」
「そうなんだよな・・・」
特別な日には、店から無料でデザートが提供される。
そのこと自体は知っていた。
「予約した時には知らせてないんでしょ?」
「そうだよ、恥ずかしいって言ってただろ?」
無料のデザートは魅力的だ。
けど、明らかに特別な日と分かってしまう。
「目立っちゃうもんね」
誕生日ならバースデーソングを歌われ、一躍時の人になる。
それはそれで照れ臭い。
「でも・・・ほんとに知らせてないの?」
「うそじゃないぞ!?」
確かに、サプライズを狙うことはできた。
けど、僕も彼女も注目されることを苦手としている。
「そう・・・」
「でも、注目されるのも悪くなかったね」
食後にコーヒーを注文した。
しばらくしてから、持ってきたのが例のデザートだった。
「そうだな」
それは頂上に花火をあしらったパフェだ。
無料とは思えないほどのボリウムがあった。
「最初は“誰か記念日なんだぁ~”って思ってた」
「僕もだよ」
それがテーブルに運ばれてきた時は間違いだと思った。
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