[No.961-1]柔らかな手~第二部~
No.961-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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足も手もかなりむくんでいた。
手で言えば、まるでグローブをつけているかのようだった。
「赤ちゃんの手のような感じだったね」
擬音で表すとすれば、“プニプニ”していた。
「いわゆる“水が溜まる”ってやつ」
「そう・・・大変だったね」
むくんでいるだけに、皮膚がピンと張り詰めていた。
それだけに、肌がつやつやしているのも印象的だった。
「だから、赤ちゃん・・・なのね」
「そういうこと」
ただ、血の巡りが悪いせいか、特に指先が冷たかった。
触れるたび、涙が溢れ出た。
「・・・会話はできた?」
「ううん、手を握り始めた頃からは・・・」
ごく小さくうなづく程度だった。
顔を近づけてやっと反応が分かるレベルだった。
「だから、答えを求めるような会話じゃなくて」
僕が一方的にしゃべるようにした。
「そうそう!日付を気にしてたから・・・」
時々、今日の日付と時間を告げた。
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