[No.960-2]柔らかな手~第一部~
No.960-2
「それからと言うもの・・・」
お見舞いに行く度に容態が悪化しているのが分かる。
それも、かなり大きく・・・。
「そしたら、いつの間にか呼吸器付けてるし」
最初はチューブを鼻に付るだけの簡単なものだった。
でも、次に会った時には・・・。
「・・・マスク?」
「うん」
酸素量も限界まで増やしているという。
看護師にそう聞かされた。
「病院も替わることになったし」
「・・・緩和ケアね」
もう、手の施しようがないと前々から言われていた。
だから、そのタイミングで転院させた。
「お母さんには?」
「説明したよ・・・けど、その前に・・・」
自分で病院主催の説明会に出ていたという。
それは後になって知った。
「ただ、母には“緩和しながら治療しようね”ってことで」
実際、先進医療で治療できるように話を進めていたからだ。
それは母も承知していた。
「けど、それを受けるにしても体力が・・・ね」
その治療を待たず、母はほぼ動けなくなった。
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