[No.957-2]自然と文明の境界
No.957-2
「橋を架けるならもっと早くにしなさいよ!って感じ」
けど、橋が架かったお陰で周辺の経済は活性化した。
大袈裟だけど。
「私はね・・・正直言うとちょっとガッカリしてる」
「・・・そうなの?」
橋は地元の悲願だとばかり思っていた。
「私は昔の方が良かったわ」
「静かだったからね」
家の周辺は、いわゆる袋小路になっていた。
格好よく言えば、文明と自然の境界的な場所でもあった。
「その表現、ピッタリね!」
「確かに、ここで文明が終わりって感じだった」
文明を超えた先は、大自然そのものだった。
「まぁ、早い話・・・田舎ってことだけどね」
「あはは、そうそう!」
友達に言わせれば、橋が全てを変えたことになるだろう。
行き交う車と立ち並ぶお店がその答えだ。
「便利になった反面、失ったものの大きいと思わない?」
「・・・かもね」
文明と自然の境界線は、思い出と現実との境界線でもあった。
(No.957完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(039)小説No.951~975」カテゴリの記事
- [No.975-2]話したいこと(2020.04.17)
- [No.975-1]話したいこと(2020.04.16)
- [No.974-2]After Tone(2020.04.14)
- [No.974-1]After Tone(2020.04.12)
- [No.973-2]ここにも春が(2020.04.10)
コメント