[No.953-2]禁断の果実
No.953-2
「そんなこと言ったら俺だって・・・」
確かに彼は彼でそれを口にした。
彼のせいにするとすれば・・・。
私の告白を断ればそれで済んだ話だ。
「でも、どうして?」
「仕方ないだろ、タイプだったんだから」
よく考えれば、初めて聞いたセリフだ。
当時はそんな余裕もなく付き合ったからだ。
もちろん、後ろめたさが大きな理由だった。
「じゃ、君はどうして?」
「俺らが付き合っていたことを知ってたんだろ?」
理由は・・・正直分からない。
ずるいけど、若さゆえの行動だった。
「・・・行動が先に」
「今じゃ、考えられないけどね」
親友との関係がどうなるかなんて考えてもみなかった。
結局、関係がバレて、親友とはそれっきりになった。
「だから、上手くいかなったのかな、私たち」
「・・・かもな」
私たちは1年を待たずに別れた。
どこかに罪の意識があったのかもしれない、お互いに。
「じゃ、そろそろ行こうか?」
「・・・うん」
今日、親友も来ている。
これが“計らい”の本当の目的だった。
(No.953完)
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