« [No.953-1]禁断の果実 | トップページ | [No.954-1]上から目線 »

[No.953-2]禁断の果実

No.953-2

「そんなこと言ったら俺だって・・・」

確かに彼は彼でそれを口にした。
彼のせいにするとすれば・・・。
私の告白を断ればそれで済んだ話だ。

「でも、どうして?」
「仕方ないだろ、タイプだったんだから」

よく考えれば、初めて聞いたセリフだ。
当時はそんな余裕もなく付き合ったからだ。
もちろん、後ろめたさが大きな理由だった。

「じゃ、君はどうして?」
「俺らが付き合っていたことを知ってたんだろ?」

理由は・・・正直分からない。
ずるいけど、若さゆえの行動だった。

「・・・行動が先に」
「今じゃ、考えられないけどね」

親友との関係がどうなるかなんて考えてもみなかった。
結局、関係がバレて、親友とはそれっきりになった。

「だから、上手くいかなったのかな、私たち」
「・・・かもな」

私たちは1年を待たずに別れた。
どこかに罪の意識があったのかもしれない、お互いに。

「じゃ、そろそろ行こうか?」
「・・・うん」

今日、親友も来ている。
これが“計らい”の本当の目的だった。
S953
(No.953完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.953-1]禁断の果実 | トップページ | [No.954-1]上から目線 »

(039)小説No.951~975」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.953-1]禁断の果実 | トップページ | [No.954-1]上から目線 »