[No.950-2]半年先にあるもの
No.950-2
「これからどうするの?」
「・・・今は答えを持っていない」
ただ、主治医の言葉通りなら、半年先には答えが出てしまう。
黙っていても。
「治療をあきらめる選択肢もある」
もちろん、続ける選択肢もある。
けど、そこにゴールはない。
「時々会いにいくさ、バレない程度に」
急に実家に帰る回数が増えるとそれこそ疑われる。
今まで通り、電話で調子を確認したり、たまに行ったり・・・。
「そうね・・・それがいいかも」
「正直に言えば、顔を見るのも辛いからね」
彼女が小さくうなづく。
言い方は適切ではないが、これに関しては彼女の方が先輩だ。
「冷静で居られる自信もないしな」
「私も・・・そうだったな」
とにかく今まで通り・・・今まで通り、過ごすことに決めた。
「うん・・・それもありだね!」
今回ばかりは時間が解決してはくれない。
解決どころか、むしろ複雑化する一方だろう。
「それでも、受け入れるつもり」
「本人と一緒に戦っていくだけさ」
(No.950完)
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